2003.10.17(金)
■日本よりシビアな学校教育
アメリカの大学院で教員資格を取り、ニュージャージー州の公立高校で五年間、日本語教師として教壇に立った著者が、学校教育についてのエピソードをまとめた本である。
小中高校の十二年間が義務教育のアメリカでは、公立高校には大学進学を目指す生徒や就職希望の生徒が混在している。また、経済的貧困家庭や片親家庭の生徒、英語を母国語としない生徒、ADHDと診断された生徒たちもいる。そうした多様な生徒たちは、ガイダンス・カウンセラーの助言を受けながら、一人ひとり異なる授業スケジュールを立て、一日に七つの教科を受ける。そうした自由がある一方で、朝、登校すると下校までは、授業の間の四分の移動時間以外には、トイレに行くにも教師の許可証が必要であり、「保護」という名の下での「監視」が徹底している。校則違反に対する処分、落第も日本以上に厳しい。一定の規律の下に自由は与えられるが、その結果
については自分の責任として負わなけれぱならないというアメリカ社会の在り方が学校生活にも反映しているようだ。
親の離婚・麻薬・飲酒・銃・セックスと妊娠など、高校生が被っている社会的影響は多大であり、高校卒業率の低下などと併せて、教育内容の問い直しが求められている。そうした現実も本書では詳細に紹介されている。
(都筑 学・中央大学教授)