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英語学習室(1-3)音則法(3) Simple is Best (1) より

“Excu se me.”は〔excuseme〕

 “Simple is Best”(全12巻)に掲載された英文を数えあげると、約3500フレーズにのぼります。もちろん同一のフレーズが何度も登場しますし、単語を入れ替えただけの同じ文型も繰り返し出てきます。個人差は別 として、大まかに言うと、全巻を通して身につけるべきフレーズの数は約1000と見ていいでしょう。
 したがって、1日に約3個ずつのフレーズを確実にモノにしていけば、1年間ですべてのフレーズが言えるようになるはずで、1日3つだけなら達成可能な目標です。しかも、似たようなフレーズがいくつもあるので、実質的には毎日2つずつ覚えていけば1年後にゴールにたどり着く勘定になります。英語学習とは、階段を確実に一歩ずつ上がっていくようなもので、1年後には羽黒山の頂上にだって到達できるはずですから、途中でスランプになったとしても、“Never give up ! Do your best !”の心意気で頑張ってください。
 とはいううものの、毎日3個ずつのフレーズを確実にモノにしていくには、それなりの努力が必要です。聞きなれた“Excuse me.”という文ひとつを取り上げてみても、とても奥が深く、このフレーズを適切なTPOのもとに正確な発音で口にするのは決して容易ではありません。
 “Excuse me.”は全部で175回も出てきますが、この数は全体のフレーズの約5%に相当します。つまり、アメリカ人の日常生活で話されている言葉の20回に1回が“Excuse me.”であるとも見なせるわけで、このフレーズが滑らかに口から出てくれば、日常会話の5%を攻略できたと言えなくもありません。
 ところで、excuse という他動詞は「を許す」という意味の語で、類義語には pardon や forgive があります。したがって、“Excuse me.”というフレーズは、「私を勘弁してくれ」とか、「私を大目に見てくれ」という内容を含みながら、人に道をあけてもらったり、話している途中で座をはずす場面 など、いわゆる「ささいなことで相手の許可を求める」とき、「ちょっと失礼」という意味で使っています。
 英会話では言葉が急にさっと出てきますが、相手に聞き取りの間合いを与えるために“Excuse me”を使うという意味合いがあるのでしょう。
 なお、“Excuse me ?”なら「もう一度言ってください」という意味ですが、即座に相手に聞き返すときは、一般 に“Pardon (me) ?”のほうを多く使います。“Excuse me ?”にはやや改まった感じがあって、「相手をわずらわす」ことに遠慮がちな態度をとる必要があるとき、少し間(ポーズ)をおいて聞き返すことになります。
 ともあれ、“Excuse me.”や“Excuse me ?”は非常に幅広く使われているだけに、このフレーズが適切な場面 でごく自然に口から出てくるには、普段からの練習が大切になります。
 “Excuse me.”という発音は、曲物の‘x’が入っているだけに決して簡単な音則ではありません。excuse が2音節、me が1音節ですから、文全体では3音節です。リンキングしても、音節の数は変わりませんが、音節ごとに区切り線を入れて音則を示しておきましょう。

  Excuseme  ……リンキングした状態
  〔i・xc・u-ez・m・ee〕………PV法による表記
  [ikskju:z mi:]………発音記号

 ‘x’は1字で〔k〕〔s〕という2つの音を持っていますが、発音するときの速さは1+1=2ではなく、1.5 以下の速さになります。また、子音が2つ続くため‘x’のあとにやや長めの間(ポーズ)が生じます。‘cuse’での〔u-e〕の部分はPV法のキーワード mule のそれと同じ母音です。‘s’の綴りは〔z〕のサウンドで、この部分が me とリンキングされます。つまり、excuse が3つに分断されたうえ、最後の部分が次の語とつながり、さらに‘x’で音のテンポが速まるという複雑な音則が展開されています。
 なお、名詞の excuse の発音は[ikskju:s]で、語末の‘s’が無声音(清音)の〔s〕です。動詞での有声音(濁音)の〔z〕の発音と違っており、意味は「言い訳」「弁解」ですから、やはり「他人の領域を侵害する可能性を持つ語」に相違ありません。
 “Excuse me.”なんて簡単すぎるとなめないでください。なにしろ全フレーズの5%を占める言葉ですから、このフレーズが使われるTPOをモノにすれば、あとに続く言葉がすらすら出てくるでしょう。“Excuse me.”が口にしっくりなじむまで、何度も繰り返し口に出すことが大切で,決して練習しすぎることはありません。

 【注】T=Time(時)、P=Place(場所)、O=Occation(状況)