|
英語学習室(3-5)音則法(7)Simple is Best(3)より
What+子音で始まる
what をPV法式に表記すると〔wh〕〔-o〕〔-t〕となります。PV法での〔wh-〕はダイグラフ(2字あっても1つの音)として扱いますが、音声学ではたとえば[(h)w]という発音記号が当てられ、音が2つあるかのように示されています。
〔wh-〕はPV法のチャートの無声音の列の上から2番目に位置して、その右隣りに有声音の〔w-〕が並んでいます。両者を比較するため、PV法のキーワードと発音記号とPV法による表記とを示しておきます。
〔wh-〕 wheel [(h)w :l] 〔wh・ee・l〕
〔w-〕 wagon [w g( )n] 〔w・a・g・弱・n〕
〔wh-〕は明らかに無声音ですが、[(h)w]という表記に[w]の記号が含まれている点が紛らわしく、学習者を混乱させますし、むしろ「正しくないのでは?」と言いたくなります。wheel
と wagon を発音してみるとわかりますが、前者は口笛を吹くような感じの“息の音”(無声音)で、後者はのどが鳴る“声の音”(有声音)です。
さて、what に戻ると、‘a’の部分が top での‘o’〔-o-〕と同じ音です。ちなみに、“What
?”という一語文では、他の1音節の語よりほんの少し長めに発音されます。しかし、what
のあとに別の語が続くと語末の‘t’の部分が七変化します。
母音で始まる語が続くとき、what is は what's と短縮されて、語末の部分が[ts]という語尾のブレンド音になります。また、what
are なら what're と短縮されて、‘t’があとに続く‘re’に吸収されたように聞こえます。いずれのケースも、‘t’が弱くなるので、what's
も what're も発音しやすくなります。
問題は what に続く語が子音で始まる場合です。ブック3の中からいくつかの例文を取り出してみましょう。
(1)What kind ?(3-1)
(2)What can I do for you ?(3-4)
(3)What showing ?(3-5)
(4)What size coke ?(3-5)
(5)What flavor is it ?(3-8)
(6)What hotel are you staying at ?(3-3)
(7)What do your bags look like ?(3-2)
(8)What did this happen ?(3-3)
(9)What does your luggage look like ?(3-2)
(10)What was inside your luggage ?(3-2)
まず無声子音から見ていくと、(1)と(2)の[-t]と[k-]、(3)と(4)の[-t]と[s-]は舌の位
置が接近しているため言いやすいはずです。
ところが、(5)の[t-]と[f-]の組合せでは舌の働きから一転して上歯と下唇の動きに変わるので口の働きが難しくなります。また、(6)は[-t]のあと、すぐに[h-]の音を作る場合も、舌の働きからとつぜんのどから出す音に変わるため、特別
な発音練習が必要になります。
有声音では[-t]と[d-]の例を(7)(8)(9)で do、did、does の3つの例で示しましたが、最後の
what does の発音がいちばん難しくなります。なぜなら、does の中の母音が曖昧母音であるため、[t]が[d]に吸収されるという子音間でのリンキングが生じるからです。つまり、同じ子音であっても、後続の音の影響で発音がいろいろ変わってくるのです。
また、(10)の what was では〔wh-〕と〔w-〕とが同じ口の形ですから、唇の動きで拍を刻んで、リズミカルに口を動かせばいいでしょう。
ともあれ、日本語は「ン」を除いて、すべての音節が母音で終わっているため、日本人は
what の[t]のように“子音止め”で発音するのが苦手ですが、さらにこのあと子音で始まる語が続く場合はもっと難しくなります。まるで狭い駐車場でバンパーとバンパーがくっつくかくっつかないかのぎりぎりの状態で車を止めるみたいな神業が必要です。
what ひとつを取り上げてみても、日本語にない音ですから、われわれが発音に難渋するのは当たり前のことでしょう。
|