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英語学習室(3-6)シンタックス法(10)Simple is Best(3)より

前置詞句は習うより慣れろ

 “Simple is Best”の学習者がじわじわ増えています。英会話をかじったことのある人なら一度は聞いたことのあるフレーズが頻繁に出てくるため、一聞して、やさしそうに感じられるせいか、ついつい「簡単にマスターできる」と取り組む姿勢が安易になりがちです。
 ところがどっこい、いざ英語話者と話す段になると、聞いてわかったつもりのフレーズが口から出てこず、自分に不十分な英語力しかないことを思いしらされます。歯ごたえがないようで、あるような−−“Simple is Best”はまことに不思議な作品です。
 で、やめようか、続けようか、と迷いながら続けていると、ある日、とつぜん実力がついている自分に気づいて、「よし、もうすこし続けてみようか」と改めて再決断することになります。
 そしてまた、誰かといっしょに練習することで相乗効果が出ることを体験すると、練習の相手を誘って学習仲間が増えていくというしだいです。学習したことを評価することが上を目ざすステップになりますが、そのためにも勉強友達は必要です。
 著者のギルバート・C・エスピネリは日本語がペラペラですが、“Simple is Best”のフレーズは彼が日本語を覚えてきた過程の裏返しのつもりで編集されています。every day American English(米日常英語)のフレーズから厳選されたものですから、まことに実践的な作りになっていて、噛めば噛むほど味が出てきます。まるでスルメのような味わいがある教材と言っていいでしょう。
 さて、ブック3では前置詞句が大活躍していますが、これらを自由自在に使いこなせると、英会話の実力がいちだんとアップします。そこでまず、シンタックス法による区切りを入れたいくつかの文例を見ておきましょう。

 (1)Is this / your first time / to the U.S ?(3-1)
 (2)Just / take the bus / to the Gold Coast.(3-9)
 (3)Where / is the best place / to go sightseeing / around here.(3-9)
 (4)We'll / call you / at the hotel / when / we / find your luggage.(3-2)
 (5)I / have a pain / in my stomach,(3-4)
 (6)Please / take two pills / after each meal.(3-4)
 (7)What / did you / have / for dinner / last night ?(3-4)
 (8)Where / can I / exchage Japanese yen / for Austraian dollars ?(3-9)
 (9)I have / a business meeting / with IBM.(3-1)
 (10)It's / about ten minutes / by car / from here.(3-9)

(1)および(2)の to は“到着点”を意味する語です。訳語に「へ」や「に」が当てられていることはご存じのとおりですが、したがって to のあとには到達地点を示す場所がきます。なお、to は“時間の到達点”についても使われます。
(3)のaround here は漠然とした近辺の範囲を示していますが、around の中核的な意味は「周囲をぐるっと回って」ですから、around には“移動”の意が含まれています。
(4)の at の中核的な意味は、空間的には「地点」で、時間的には「時点」ですから、at に後続する語は「特定の選択された場所」が示されます。
(5)の in は空間的な“領域”を示す語で、訳語は「の中に」となります。したがって、in のあとには場所が示されますが、ここでの場所は人体の一部です。
(6)の after の中核的な意味は「続く」ですから、時間的には「あとに」という意味なり、つまり「夕食に続けて薬を飲む」ことがわかります。
 for という前置詞は語源的に「に対して」「に向かって」の意味を含むので、“目的地”から“目的”の意味が生じて「のために」と訳されます。したがって、(7)では「夕食として」となり、(8)では「に換えて」という訳語になります。
(9)の with は「ともに」という意味ですから、このあとには meeing をする相手がきます。なお、with の発音は聞こえにくいので、よく耳を澄まして聞いてください。
(10)の by の中核的な意味は空間的には「そばに」ですが、by のあとに行為をするものがくると、「で」「によって」という“手段”を表わします。
 前置詞は日本語の<テニオハ+α>と見なしていいでしょう。そして、前置詞句は「習うより慣れろ」ですから、とにかく使うことが肝心です。そのひとつひとつに理由づけはできますが、考えながら使っているようでは実際の日常会話の役には立ちません。