英語学習室

英単語マニア
『英単語マニア』[FAQ]

英文書道
『Kanji Calligraphy』

メルマガ


■英語学習室(5−3)音則法(10)“Simple is Best”(5)より

2002.10.25(金)

■that is は簡単な発音ではない

 レッスン5−8はレンタカーを借りるときの会話ですが、その中の次のフレーズにおける音則を掘り下げてみましょう。

  There is / a $ 500 refundable deposit / that is / required.
  (あとでお返しする500ドルの前払保証金が必要です)

 この1つのフレーズを言い終えるのに、ギルバートは約3秒を要しています。音則上、6つに区切られますが、区切る位 置を5本のタテ線で示すと次のようになります。

  There's a|five hundred dollars‖refundable|deposit‖that is|required.

 大きい区切りを双柱ケイで示しましたが、この間がそれぞれ約1秒間で3カ所に分かれているので、フレーズ全体で3秒かかるというわけです。単柱ケイのところに小さなポーズ(間)がありますが、全体を通 して次のような音則上の特徴がうかがえます。
 (1) There is は There's と短縮形で言うことが多い。
 (2) 冠詞のところで切れるので There's a のあとに軽いポーズが生じる。
 (3) すこし無理してでも$ 500を一息に言ってしまう。
 (4) refundable と deposit の両語はもともとそれほど親密な間柄にないので、両者の間に軽いポーズが生じる。
 (5) とはいうものの、意味上の区分もあいまって、両語の一体化が進んでいるので、refundable deposit を音則上の1つのグループをなす。
 (6) that is には「すなわち」のような意味を含まれており、|tha|t_is|のようなリンキングを起こして発音される。短縮形の that's となっていない点に注意。
 (7) required には三重母音が含まれているので、長めに発音され、that is と結びつきやすくなっており、この語が文全体の締めになっている。

 では、次の問いに答えてみてください。
 (1) どの部分が一番難しいと思いますか?
 (2) 3秒間で言えるようになるまで何回くらい練習すればいいでしょうか?

 日本人がいちばん苦手とするのは that is の部分です。(1)まず最初に〔th・a〕で舌を歯に挟んだあと、(2)ついで〔t・i〕で素速く舌先を上の歯茎の後ろに移動させ、(3) さらに〔s〕で舌先を下の歯茎の後ろまで持ってくるには、この部分だけの繰り返し練習をしなければなりません。
 そして、すぐさま required の〔r〕の音に移るとき、舌先を口の奥に向けて巻き上げますが、この一連の舌の動きは日本語にまったくない動作です。特別 に練習しないかぎり、できるわけがありません。
 また、出だしの there での舌の位置が大切で、ここで舌の動きを怠けると、そのあとすべてがダメになります。
 refundable と required の2カ所の〔r〕には十分に注意してください。舌先の動きもさることながら、〔r〕のサウンドはのどを使う気分で出してください。
 練習のコツはあらかじめ何度か that is required を口慣らししておくことです。ついで、その前に deposit を加えて、deposit から that に移るさいの間の取り方を練習してください。
 そのあと、全文を言うと、あらあら不思議、ギルバートより早く言えてしまいました。ギルバートが特別 に速くしゃべっているわけではないのです。もし3.5秒以上かかったら、どこかに悪い音の出し方があるはずです。

 なお、意味上の区分は、斜線で示したとおり4つに区切れますが、英語話者の頭の中では次のような作文過程があります。

 (1) あります  <There is 構文>
 (2) 500ドルの返してもらえる前払金
 (3) それは〜です=すなわち
 (4) 要求される

 is required の形は受身形ですが、required が形容詞のように働いて、<S(that)+ be 動詞+補語>型と同じになって、「required という状態」を示しています。
 長い文を言うとき、ギルバートとグレースの話し方がちょっぴり速くなってきたようですが、これが英語話者のナチュラル・スピードです。長い文になると、言わなくても相手にわかる音は呼吸との関係で無意識に軽めになってしまいます。