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■英語学習室(8−3)“Simple is Best”(8)より語源法(6)

2003.2.12

■try onとtryはどう違うか?

 レッスン8−6は try on という句動詞に慣れる練習です。ひとまずtry onが出てくるフレーズを抜き出しておきましょう。

  (1) Can I try this on?
  (2) May I try tish on?
  (3) We have dressing rooms over here if you want to try it on.
  (4) Do you want to try it on?
  (5) Do you wanna try it on?
  (6) Would you like to try it on?
  (7) Why don't you try it on?

 全部の文に共通する try it on(または try this on)がキーフレーズですが、句動詞の try on は「試着する」という意味の他動詞で、目的語が it または this で示されています。
 try という単語は、語源がはっきりわかりませんが、フランス語から由来しているようで、もともと「ふるいにかける」とか、「選び抜く」という意味だったようです。また、中英語では「裁く」という意味で使っていたようで、それが今日「審理する」という意味で残り、その名詞形が「裁判」を意味する trial です。
 try はつまり、「やってみる」「試みる」というニュアンスで使う場合が多く、おもには他動詞ですが、自動詞でも使われます。
 おもな句動詞は try on と try out(実際に使ってみる)の2つですが、try out forという3語から成る句動詞を使うこともあります。たとえば、“You should try out for the winner.”(優勝するよう頑張りなさい)などのように、「獲得しようとする」という場面 が生じると、英語話者はごく自然にtry out forという句動詞が口から出てきます。
 ブック9では try it(9−8)や try some(9−9)の形で、try が単独の他動詞として使われていますが、これはドレッシングやスープを試してみようとする場面 です。衣服類の試着のときは、目的語のあとに on をくっつけたほうがぴったりくるという感じを身につけてください。
 句動詞の説明では、ふつうtry onと目的語の関係を<try+名詞・代名詞+on>と<try+on+名詞>という2種類の語順で示されていますが、もちろん目的語のあとに on がくっつく前者のほうが本来の姿と見なせます。名詞には長い語があるので、後者のように try on と言ったあと名詞を告げる形が生じてきたと見なしていいでしょう。
 「目的語が代名詞のときtry on の間に入ってくる」という説明で間違いとは言えませんが、英語話者がこの表現を使う感覚は<try it+on>なのです。このように考えると、服を試着するときにはonを付け、初物を食べるときには on を付けないという感じがつかみやすくなるはずです。
 では、最初に示した7つの文から try it on を外してみましょう。ただし、(3)は if で結んだ複文ですから、weからifまでも外します。

  (1) Can I 〜
  (2) May I 〜
  (3) You want to 〜
  (4) Do you want to 〜
  (5) Do you wanna 〜
  (6) Would you like to 〜
  (7) Why don't you 〜

 (1)と(2)は try it onしていいかどうかをたずねる「枕言葉」のようなものです。
 (3)の want to はもともと<want+to 不定詞(目的語)>ですが、この形は助動詞のように使われる「助動詞もどき」と見なせます。
 (4)は(3)の疑問形です。Do you 〜 ? の形で始まることからして、want toが本物の助動詞でないことがわかります。(5)のwannaはwant toの短縮形です。
 (6)は肯定形の you would like to に還元してみましょう。すると、like to want to の関係が見え、これに助動詞の would が割り込んで、would like = want のように使われていることに気づくはずです。そして、再び疑問形に移行させると、would が助動詞ですから、必然的に文頭に出てきました。
 (7)は don't you だけでも文として成立しますが、why という帽子をかぶせることで、意味がより強調されます。
 Can I 〜 ? 以下、文の構造に関わる部分は、口から無意識に出てくるほど量 を重ねて練習するしかありませんが、文の中心的な意味を示す try on については語義をしっかり知っておく必要があります。
 try は句動詞こそ少ないものの、(1)to 不定詞を目的語として続ける連鎖動詞として使ったり、(2)try -ing の形で「実際にしてみる」という表現で用いたり、(3)レッスン9−3に“I'm trying to find Ala Moana Shopping Center.”とあるように、be trying to の形で「しようとする」という意味の助動詞もどきとして使ったり、(4)try and do という形で try to do と同じように使うなど、いくつか特徴的な使われ方をします。tryの使い方を身につけると、英作文力が一段と飛躍的に向上します。