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■英語学習室(9−2)“Simple is Best”(9)より語源法(7)

2003.3

■workはいかなる働きを持つ語か?

 レッスン9−2のタイトルは“Something doesn't work”で、いうなればworkという語の概念を把握することをテーマとしています。
 work は、自動詞系の動詞としては、goとcomeに次ぐ重要な位置を占めています。おおまかに言えば、work は日本語の「働く」に相当する語ですが、両者はまったくイコールではありません。
 そこで、ひとまず日本語の「働く」(自動詞)と「働かす」(他動詞)に含まれる意味を確認しておく必要がありますが、ひとまず用例を見てみましょう。

  会社で働く、この車はよく働く、頭が働く、引力が働く、薬品が働く、悪事を働く
  子供を働かす、知恵を働かす

 すなわち、「働いたり、働かせたりする」ことによって、何らかの「効果 が出る」ことを期待していますが、英語の work もほぼ同じようなニュアンスで使われます。
 ところが、日本語には「動く」(自動詞)、「動かす」(他動詞)という語があって、たとえば「機械が稼動する」さいには「機械が動く」と言ったほうがしっくりきます。「機械が働く」と言えば、一般 に「機械を働かせることによって成果を生む」場合を指します。
 「動く」「動かす」に対して、英語には move という動詞があります。moveはおもに「方向性のある動き」を表現する語として使っているので、やはり日本語の「動く」「動かす」とぴったり一致する語ではありません。日本語と英語の関係は、互いに一対一的に対応していないことを強調しておきます。

  work 働く、働かす
  move 動く、動かす

 つまり、work1語に対して、日本語では多数の訳語があり、また、その逆もあるわけですから、work は work として感じるしかないのです。テキストに出てくる work は下記の3例だけですが、この「働かない」という感覚を身につけてください。

  Our T.V. doesn't / work.(映らない)
  My toilet doesn't / work.(使えない)
  The light (in my room) doesn't / work.(点かない)

 では、日常的に work が使われている例をいくつか見ておきましょう。

  (1) Work / harder.(もっと一生懸命やりなさいよ)
  (2) Just / work / hard / without grumbling.(ぶつくさ言わず、黙って働けばいいのよ)
  (3) Work / a little more quickly / and / efficiently.(もっとてきぱきやってよ)
  (4) Work on it / immediately.(さっさとやってよ)
  (5) Don't / work / too hard.(ほどほどにやっとけ)
  (6) You / work / much too hard.(あんたは働きすぎです)
  (7) She / works / all the time.(彼女はいつも働いています)
  (8) He / works / too slowly.(彼は仕事が遅いねえ)
  (9) She / works / part-time.(彼女はパートです)
  (10) We / works / five days a week.(うちは週5日制です)
  (11) I / work / at night.(私は深夜勤務をしています)
  (12) I / work / in the personnel department.(私は人事部で働いています)
  (13) It / works / for me.(私はそれでけっこうです)
  (14) That / works well / for me.(私は好都合です)
  (15) She / works for me.(彼女は私の部下です)

 (4)の work on は句動詞で、「取り組む」という訳語になり、it を目的語として他動詞として働いています。自動詞が他動詞化するとき、<自動詞+副詞/前置詞>の形式をとることを再確認してください。
 (15)の work for も句動詞で、他動詞化して「勤める」という訳語になり、構造的には(4)の work on と似た働きになります。
 ところが、(13)は work と for とが並んでいますが、これは句動詞ではありません。この work は副詞(類)を伴って「うまくいく」(うまく働く)という意味で使われる語です。すなわち、(14)で work のあとに well が入って work for が分断されることからして、両語の結びつきの程度が了解できます。
 つまり、これは<自動詞+前置詞句>の形と見なせますが、(11)と(12)の work もこの種に相当すると見ていいでしょう。句動詞か、そうでないかという問題は、文法学者を悩ますほど難解なテーマですから、あまり深刻に考えなくてけっこうです。
 上の例文では、workの命令形と現在形の肯定文だけを取り上げましたが、これが否定文や疑問文になったり、過去形になったり、また各種の助動詞が付くなどして、幅広い展開を見せます。workだけで1冊の本が十分に作れるほど用例を示すことができます。
 work という語に出会ったとき、どんな使われ方をしているかを分析することは、英語学習の大きな楽しみになります。