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■英語学習室(10−1)“Simple is Best”(10)よりPV法(  )

2003.2

■ketchupのサウンドをめぐって

 レッスン10−6と10−7の中で盛んに ketchup という語が出てきます。どのように聞いても catch up としか聞こえませんが、じつは両者はまったく同じ発音です。そのじつ、アメリカでは catchup と表記する人が少なくありません。しかも、これは正式な表記として認められているようです。
 語源辞典を調べると、ketchup は広東語の「茄汁」に由来するとあります。現代中国標準語や北京語なら「チィエズー」のように発音しますが、原音がどんなものであったか見当もつきません。文字面 からすると、茄=ナスですから、広東家庭料理によくある魚を発酵させた中華風調味料のようなものかもしれませんが、ナスがいつトマトに変身したのかもわかりません。
 ketchup は〔k〕〔-e-〕〔t〕〔ch〕〔弱母音〕〔p〕という6つの音から成るCVC|CVCと並ぶ2音節の単語です。CVC(子音・母音・子音)という音の並びは、英語の1音節の基本形で、ketchup ではそれが2回続いていますが、4つの子音がいずれもはっきり聞こえます。
 アクセントは最初の母音に置かれて、後ろの母音は schwa(シュワー)すなわち弱母音です。bullshit(でたらめ)や sunshine(日光)のような2つの単語が合成された「複合語」(合成語)に多く見られる音の並びと同じです。なお、ketchup のように、前の母音にアクセントを置く語は、そのほかcellphone(ケータイ)やsuitcase(旅行かばん)など、数えしれないほどあります。
 英語の合成語は比較的新しい言葉ですが、それらが日本語に直輸入されたため、外来語として日本語式の音になってしまったので、とくにこれらの語の発音が日本語にならないよう気をつけてください。
 ketchup はCVC|CVCという音の並びの代表選手のような語で、1つ1つの音が正確に発音されないと相手に通 じません。むろん、外来語の「ケチャップ」が通じるわけありません。
 ketchup の〔k〕は口の奥深くのどの付近で音で作ります。
 〔t〕は舌先で上歯の歯茎の後ろを叩く弾音です。
 〔ch〕は舌の奥を持ち上げて、上の歯の歯茎の後ろにくっつけた舌を急に放して出す音で、日本語のチやチャ・チュ・チョというときの音と似た破擦音です。
 〔p〕は両唇を口の中に包み込むように入れ込んで、強く放して出す破裂音です。
 母音の〔-e-〕は口を横に引くような形から出す音で、この音は東北方言の「いいがら」(良いから)というときの「い」に似ていますが、東北地方以外の人はこの発音に苦労するようです。
 弱母音については、気にする必要はありません。アクセントが置かれていないため、音を聞き分ける要所になっていないません。乱暴に言えば、英語の母音の第一アクセントさえ間違えなければ用を足せます。
 「ケチャップ」でなく、ketchup と言えますか?
 言えない人は catch up と言いながら、自分がどのような口の使い方をしているのか、1つずつのサウンドを確かめてください。