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■英語学習室(11−1)シンタックス法(11)Simple is Best(11)より

2003.4.18

■助動詞は場面を特定化する

 レッスン11−1は“You have the wrong number.”がテーマで、下記の2つのフレーズを取り上げました。

 (1) You / have the wrong number.
 (2) You must / have the wrong number.

 この2つのフレーズはmust が入っているかどうかの違いだけで、ほとんど同じ状況下で使われています。ネイティブ・スピーカーに両者の違いを聞いても、たぶんほとんど差がないと答えるはずです。
 しかしながら、助動詞には意味を限定する特質があって、mustには「たしかに」というニュアンスを含むので、(2)のほうが相手の間違いを明確かつ丁寧に告げている印象があります。つまり、must は「しなければならない」という「必要性・必然性」を表わす助動詞ですが、このテーマ文のように「違いない」と訳したほうがしっくりくる場合も少なくありません。たとえば、次のフレーズはほとんど慣用句になっています。

  You must be Gilbert.

 「あなたはギルバートであらねばならない」→「あなたはギルバードに違いない」→「あなたは、たしかに、キルバートですね」という意味になります。
 したがって、(2)は「番号をお間違いですよ」くらいで、(1)は「番号が違います」くらいのニュアンスでしょうか。
 では、次のフレーズはどんな場面で出てくると思われますか?

 (3) You would / have the wrong number.
 (4) you might / have the wrong number.

 (3)はAさんが誰かの古い電話番号を持っているとき、Bさんが「その電話番号に掛けると間違い電話になりますよ」とアドバイスするときにぴったりの表現です。would という助動詞の性質がじつによく出ています。助動詞が「場面を特定化してしまう」ことがよくわかる例です。
 (4)は会社のある課のスミスさんに電話が掛かってきて、それが別の課にいるスミスさんのことであったとき、電話に出た人はこのセリフを言うかもしれません。なお、mightでなく、mayを使う人もいるでしょう。
 では、“You should / have the wrong number.”というシーンが考えられるでしょうか?絶対になくはありませんが、ふつうは下記のように wrong が right に代わります。
 rightは“That's right.”という慣用句があるせいで、wrongの2.5倍くらい多く使われる形容詞です。wrongはwrong wifeとかwrong nameのように日本語とは別の感覚で使われるので、この語の感触を大いに楽しんでください。

  You should / have the right number.

 助動詞の面白さはとどまるところを知りませんが、助動詞の使い方はさておき、このテーマ文の have the wrong number という感覚をしっかり身につけてください。
 すなわち、“You are wrong.”(あなたは間違っている)ならyou=wrongという関係が成り立ちますが、「あなた」と「間違い番号」はイコールで結べないので、you > the wrong numberの関係になります。したがって、>を have(所有)で表わしますが、英語は数学みたいに論理性のがっちりした言語なのです。
 ところで、本講座を第1巻から始めた人はそろそろ応用に入るころです。ブック11は大半を電話の会話として示しましたが、これらの表現は電話以外にもよく使われます。次のような場面 はいかがでしょうか。

A : Come in.
B : Excuse me, ma'am. You're in the wrong room. We're in a meeting right now.
C : Oh, I'm so sorry.

 AさんやBさんの会議中、Cさんが(部屋を間違えて)ドアをノックし、Aさんが「どうぞ」と言って、Cさんがドアを開けて顔をのぞかせた場面 です。あなたがBさんとしたら、上記のセリフが口からすらすらと出てきますか?
 ここには難しいフレーズは何ひとつなく、“We're in a meeting.”はレッスン11−4のテーマの“He's in a meeting.”から借りてきたフレーズです。“Simple is Best”をきちんとプラクティスしておけば、日常的な場面 の98%は適切なフレーズで表現できるようになるでしょう。