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■英語学習室(12−4)シンタックス法(15)“Simple is Best”(12)より

2003.6.16

■音則と文則のはざまで

 レッスン12−5の中に重点的に練習していただきたい長めのフレーズがあります。

  Please / remember / in the future / to reconfirm your fright / with us / at least 48 hours / before / you / fly / each time.
  「どうか/お忘れなく/この先/飛行機の再確認を/われわれに対して/少なくとも48時間/以前に/あなたが/飛行機に乗る/たびに」

 下段に示した棒訳どおり、英語話者はこのような思考順序で英語を話していると考えられますが、順序どおり検討してみましょう。
 (1) please は「丁寧な言葉」であることを告げると同時に、相手に聞いてもらう準備をさせるサインになっています。
 (2) remember の原義は「思い出す」ですが、“Remember Pearl Harbor.”でおわかりのように、この語は「命令形」でよく使います。
 (3) in the future は「今ではない=この先」ことを念押しする挿入句ですから、なくてもかまいません。
 (4) reconfirm your flight がこのフレーズでの最も大切なメッセージで、remember とのつながりにおいて to 不定詞で使われています。すなわち、remember が連鎖動詞ですから、remember<reconfirm という関係になっています。
 (5) with us の us は航空会社のことで、このセリフを述べている当事者ですから、いわゆる「連絡先」を明確に告げる言葉です。
 (6) at least 48 hours で「時間」の範囲をはっきりさせています。
 (7) before は「つなぎの言葉」で、いうなれば 48 hours までの内容が you 以降の事柄より前である関係を示す記号です。
 (8)飛行機に乗るのは、この一連のフレーズを告げられている当人ですから、話し手は you fly と言って確認します。
 (9)最後に each time とあることによって、reconfirm しなければならない状況が「数回」あることが示されています。
 この20語をギルバートは6秒強で話していますが、音則は下記のとおりです。

  Please|remember|in the future|to reconfirm your fright with us|at least 48 hours|before you fly|each time.

 区切り線は文則上の区切りより3本少ないだけで、ほかは同じです。言い慣れている短い慣用句では、音則と文則の区切りが違ってくるので、フレーズを丸暗記する必要がありますが、長いメッセージでは、無意識に近いけれど、ひとつずつの言葉の意味を確かめながら話されます。
 公式の場で使われる6秒以上のフレーズは暗記する必要がないだけ助かるし、そもそも暗記できるものでもありません。訓練することで、脳が勝手に話してくれるようになるわけです。
 さて、ここいらでブック1に戻ってみたいと思います。レッスン1−2および1−3の下記の2つの文を思い出してください。

  Ladies and Gentlemen, / we are / ready / for takeoff. / Please / make sure / your seatbelts are / fastened / and / your seats are / in the upright position.(1−2)

  Ladies and Gentlemen. / The Captain has / turned on the“fasten your seatbelt sign.”/ Please / return / to your seat / and / make sure / your seatbelts are / fastened / securely.(1−3)

 gentlemen のあと、一方がカンマで、もう一方がピリオドになっていますが、日本語の読点をどこに打つかの絶対的なルールがないのと同じで、言い方しだいで、表記上カンマにしたり、ピリオドになったりします。その点を考慮に入れると、両方とも2つのフレーズから成り立っており、上が7秒弱、下が7秒強かかっています。その音則はほぼ下記のようになっています。

  Ladies and Gentlemen,|we are ready for takeoff.|Please|make sure|your seatbelts|are fastened|and your seats|are in the upright position.(1−2)

  Ladies and Gentlemen.|The Captain has|turned on the|“fasten your seatbelt sign.”|Please|return to your seat|and make sure|your seatbelts are fastened|securely.(1−3)

 やはり、音則と文則の区切りがほとんど違っておらず、音則のほうが区切りが少なくなっていることに気づいてください。
 最初に“Simple is Best”に取り組んだとき、この2つのフレーズのスピーキングに手も足も出なかった人もいたでしょうが、シンタックス法と音則法で学んできたいま、これらのセリフは簡単に言えるようになっているはずです。
 しかし、使わなければ言葉はすぐに忘れてしまいます。でも、飛行機に乗ったとき、これと似たフレーズを聞くと、すぐに思い出せます。忘れたり、思い出したり、そうこうしているうちに、気がついたら「なんだ、話せるようになっているじゃないか!」となるのです。
 言葉とは、そういうものです。