■whyと「なぜ」はイコールではない
2002.12.19(木)
アメリカの子供は‘why’を使って自分が知らないことを大人にたずねます。なかには答えにくい質問もあって、直接的に答えられないこともありますが、知っていることなら答えてあげるのが英語圏でのルールです。ぼくは自分の子供に必ず答えてきましたし、よその子にもきちんと返事するよう心掛けています。
日本語にも「なぜ」「どうして」「なんで」など、whyを対応する言葉がたくさんありますが、これらは必ずしもwhyとイコールではないようです。
英語におけるwhyの多くは、文頭に使われる疑問詞で、文末に?を伴います。したがって、聞き手は相手の問いに答える義務が生じますが、日本語の「なぜ」は必ずしも文頭にこなくてもよく、whyより曖昧な性格を持っています。
なぜだかわかりませんが、日本の親は子供から「なぜ?」と聞かれて、はっきり答えていないようです。「子供がそんなこと聞くんじゃないの」とか、「そんなこと聞いて何になるの」などと威圧して、子供の好奇心を封印してしまうようで、「なぜ」にはどうやらwhyほどの強制力がないようです。(もちろん、アメリカ人にも日本人的な大人はいます)
疑問を持つことを禁止されたせいか、日本人は権威が言ったことを鵜呑みにする人が多いようです。政府の言うことを簡単に信じたがるし、新聞などの活字メディアには無批判だし、驚くべきことにテレビで言っていることまで多くの日本人は信じているようです。テレビは面白おかしく作っているだけのエンターテインメントにすぎないのに、日本人はテレビ情報をわりと丸呑みしています。
アメリカ人は学校時代に各自が自分の意見を出し合って、それをテーマに議論を闘わせる訓練をたっぷりしてきたため、理由を知りたいときにはwhyを使って考えることに慣れています。たとえば、ブッシュ大統領が何と言おうと、言葉ではなく、実際にやっていることを見てしか判断しません。もっとも、政府は多くの事実を隠しているので、情報不足のために、やっぱり国民は騙されがちですが、だからこそ物事を自分で判断する力を養っていくのです。
そんな日本および日本人のことを心配してか、ビル・トッテンという人が自分のホームページで「アメリカの巨悪」を暴いていたのですが、数カ月前に開いたとき情報がすべて消されて真っ白になっていました。あのあと確認していませんが、どうしたんでしょう?彼には何冊かの日本語の著書があるそうですが、ぼくは読んだことがありません。
ブッシュはなんだかんだイラクにいちゃもんをつけていますが、フセインもさるもの、両者の丁丁発止の駆け引きはまだまだ続きますが、テレビの解説はまことにピント外れが多くて、ぼくは英語から情報を得られない日本人を可哀想と思っています。
ぼくはサウジアラビアの王室に雇われて現地で働いていたので、日本のマスコミよりアラブ世界を肌で知っているつもりですが、アラビア語はつまみ食いしただけだから、言葉を通して彼らの世界を知ることはできません。
ちなみに、イスラム教を大別して、シーア派とスンニー派に分けて、後者を穏健派としていますが、そんな単純なものではありません。サウジはスンニー派で、この国は非常に戒律の厳しいイスラム社会の本家本元で、ビン・ラーディンのような「聖戦派」が出てきても不思議でない宗教的背景を持っています。
ブッシュはアルカイダの真の目的を知るべきでしょう。理由もなしに彼らが世界貿易ビルを破壊するわけがありません。問題があれば、原因を探すことが肝心で、9・11の事件はノーム・チョムスキーの『9・11』(文春文庫)を読めばあらかたのことがわかるはずです。(ぼくは話を聞いただけで、まだ読んでいません)
アメリカは湾岸戦争のパート2をするため、フセインを必要な人物と見なしているかもしれません。プロレスでは悪役を欠かせませんし、ヒットを出したゲーム作家なら、強烈な悪のイメージを持つキャラクターを惜しげもなく捨てるようなことはまずしません。
ごくふつうに考えれば解ける程度の疑問を日本のマスコミはわざわざ難しく考えているようです。イスラム世界についての情報をぼくから出すのは怖いので、自分の頭で考えてください。
いつもwhyと問い続け、whyを使って作文していれば、英語力が上達すると同時に、世界が見えてきます。
(バブ・ゴーデン)