■「あっという間に」の英語表現
2003.3.31(月)
那覇空港で久し振りにシュウジに会ったら、彼が日本語で「あっという間の2カ月だったな」という挨拶言葉を口にした。この「あっという間の」というイディオムをぼくはこの2週間の間に数えきれないほどたくさん聞いている。
ぼくは「間」という漢字を音読みで「カン」と「ケン」、訓読みで「あいだ」と「ま」と読むことをたぶん15年くらい前から知っているんだが、つい2週間前まで「あっという間に」という熟語を知らなかった。
ぼくは沖縄県那覇市でAETを勤めているが、中学校の場合、英語の担当教師の役割が大きいので、ぼくたちAETは文字どおりアシスタントにすぎず。授業と授業の間に時間がとれるので、日本語の勉強をして暇つぶしなどしているが、そのとき「あっという間に」の「間」を「ま」と読むと知ってショックを受けた。
それ以前、ぼくはこの言葉を何千回も「聞いているはず」なのに「聞こえていなかった」からである。この2週間、家の中だけでもこの句を5〜6回は聞いているし、合計すると何十回も聞いている。ということは、2週間前までのぼくは、耳にする日本語を、この句を抜きに解釈していたことになる。
「あっという間に」は英文法では副詞類だから、聞きもらしても大した問題が起こらなかったが、ぼくはいま、たったこの一句を知っただけで日本語のリスニングがずいぶん楽になった気がするし、日本人がどんな文脈の中でこの句を使うかを楽しみながら耳を傾けている。
「言葉は完成することのないジグソーパズルのようなものだが、覚えた単語や熟語をひとつずつ埋めるたびに、その言語のおぼろげな像が少しずつはっきりしてくる」とシュウジが言った。
そこでぼくが、彼に「あっという間に」を英語で言ってみるように迫ると、最初にin
a minute、in a second、in a momentのin a 〜類とsoonとshortlyが出てきた。
in a secondを応用してin a split second、in a micro second、in a nano
secondとすると「あっという間に」の感じが出てくることを教えてあげた。また、shortlyよりはquicklyのほうが切迫感があるし、in
a short whileという言い方もできるし、after little whileという使い方もあるなどという話をした。
ぼくが日本語の「あっという間に」といちばん近いと思うのはin the blink
of an eyeだが、次の例文を作ってみた。
He slammed on the breaks in the blink of an eye.
The purse was stolen in the blink of an eye.
slam on the brakesは「急ブレーキをかける」という意味だから、前の車に追突する事故を起こしたときの説明にぴったりの表現になる。下はお店で支払いをするとき、クレジットカードを取り出した財布を手から離した瞬間に盗まれた場合の表現である。
シュウジから“He'll be here in a moment”.のin a momentの代わりにin the
blink of an eyeが使えないことはなんとなくわかるが、heがスーパーマンでも駄目かと聞いてきた。そのときは下記のような表現になるだろう。
He'll have been here and gone in the blink of an eye.
日本人なら誰でも「あっという間に」を適切に使うことができるが、ぼくにはもう少し修行が必要と思う。ほかにもfaster
than a bat out of hell という表現もあるなどと「あっという間に」の英語と日本語の表現の違いを話しながら車を走らせていたら、「あっという間に」1時間が過ぎて、読谷のホテルに到着していた。この文にも「間」という字がずいぶん多いことに気づいてびっくりしている。
(バブ・ゴーデン)