■twenty が twenee のように発音される理由
2006.11.24(金)
去る11月18日、沖縄県那覇市の語学センターで(財)沖縄県国際交流・人材育成財団の主催による「語学ふれあいフェア06」と題するセミナーが開催されて、ぼくも講師の一人として出席しました。
ぼくの話は「英語の単音の性質から生じる米語の話し言葉における音声の短縮化傾向について」という少々長たらしい演題でしたが、ありていに言えば、「英語のスピーキング&リスニングに上達するヒント」を話しました。
講演の場所は中央に大きなテーブルを設置した会議室ふうの部屋で、約15名の聞き手の大半が女性で、男性は4名だけでした。以前、同じ中学校で一緒に働いていた中学校の教諭もいて、ほぼ全員が英語教師の雰囲気を漂わせていました。
東京をはじめ、ぼくは日本各地で何度か講演していますが、英語だけで話したのは今回が初めてです。沖縄ゆえに、英語だけの講演が可能だったのでしょうか。短い挨拶のあと、1枚目のスライドを映写して、英語で話し始めると、聞き手の全員の背筋がぴんと伸びたので、日英の音声比較をする場面を除いて、そのまま最後まで英語で話しました。さすが沖縄だと感心しながら、県外ではたぶんありえない光景だと思いました。
沖縄県の英語教師、とくに女性教師の中には英語の話し言葉に不自由しない人がけっこういます。沖縄県にはアメリカ人が約3万人もいるし、米軍関係の職場で働くには英語が必要だし、英語話者と結婚経験を持つ人も少なくありません。ぼくの子供たちのようなハーフはたいていバイリンガルになります。また、海外に親戚を持つ人が多い関係上、留学経験者も数多くいます。生活上、一部に英語を必要と考える環境があるせいか、沖縄県人の英語を学ぶモチベーションは他県よりかなり高いと言えます。
しかし、英語学習に関して言えば、本土の事情とさほど変わりません。とくに中学・高校での英語教育は、文科省の掌中にあるわけで、本土と条件がまったく同じになります。だから、先生方はまず生徒の成績向上を図るため、テストの平均点の底上げに重点を置いて、英語のテストで生徒が点を取りやすいように教えがちです。
英語を実際に使える先生方は、学校現場の要求に応えなければならない一方、自分の経験において、英語学習は反復練習が最も大切であることを知っているので、目の前のテストの成績を上げるか、役に立つ英語を教えるかのジレンマに陥るようです。生徒への有効な指導法を模索しながら、ぼくの話の中からヒントを得ようとするのかもしれません。
講演中、twenty は辞書に〔t〕〔w〕〔-e-〕〔n〕〔t〕〔-i-〕という6つの音が示されているけど、実際には最後から2つ目の〔t〕を発音しない理由に触れました。つまり、子音の
articulator(調音器官)において、〔n〕と〔t〕がともに舌先を歯茎の裏に当てる関係上、両音は続けて発音しにくいため、あとに続く〔t〕を自然に脱落させ、音節との関係から母音止めの現象が生じて、|twe|nee|のように発音すると説明したとき、1人の先生から「twenty
の2種類の発音を両方とも生徒に教えるべきか」という質問が出ました。
ぼくは45個の単音(子音27・母音18)だけを執拗に正しく練習すれば、口の筋肉がおのずと英語話者と同じに動いて、意図せず脱落形を使えるようになるので、とりたてて省略形を教える必要はないと思っています。英語音の短縮化現象は多量にあるうえ、その音声理論は学術的すぎるので、中学・高校ではなにげなく「さわり」を教えるだけでいいと考えています。
しかし、英語の45個の単音は、英語学習のすべての基礎になるほど大切だから、子供たちの潜在意識に叩き込まなければならないと主張して、小学校で英語話者から正しい発音を学びさえすれば、中学校以降は誰が英語を教えてもいいし、自習が可能になるという自説を添えて回答しました。