■『ライトハウス英語の句動詞』(3)

2002.10.3(木)

英語の句動詞をどう学ぶか(3)

 『ライトハウス英語の句動詞』(研究社)は錚々たる執筆陣と監修者の手に なるもので、その分類法に当社がとやかく言う筋合いはありません。難を言え ば、その4種7型の図式において、動詞と副詞または前置詞の組合せだけで見 せたため、初学者にわかりにくくなったことでしょう。
 せっかく他動詞と自動詞の別を明示しているわけですから、他動詞において は、目的語(O)の位置を明確に示しての図式に作れば、もっと理解しやすく なったと思います。
 この稿では、目的語を加えての図式に作って、例文に続いてそれを掲げてお きますが、ひとまず単純な構造の3種4型を見ておきましょう。

  (1)   Drink up!(ぐっと飲みほせよ!)
  (2)   Look at me!(俺を見ろ!)
  (3−a) Turn off the radio.(ラジオを消しなさい)
  (3−b) Turn the radio off.
  (1)   自+副     drink up      <自>(D類)
  (2)   自+前+O   look at+O    <他>(A類)
  (3−a) 他+副+O   turn off+O    <他>(C類)
  (3−b) 他+O+副   turn+O+off   <他>
   (自=自動詞、他=他動詞、副=副詞、前=前置詞、O=目的語)

 句動詞は、いうなれば動詞1語だけでは詳しく説明できないために生じた表 現法で、動詞の後ろに副詞もしくは前置詞をくっつけて作りますが、その組合 せは2種(自動詞、他動詞)×2種(副詞、前置詞)ですから、4種になりそ うですが、単純構造のものは上記に示した3種だけになります。「他+前」が ない理由はあとで説明します。

 (1)は自動詞が句動詞になっても依然として自動詞のままのタイプですか ら、目的語を必要としません。
 (2)のタイプは自動詞の look を他動詞として使うための工夫として、前 置詞の力を借りています。動詞の原点は自動詞ですが、より細かな内容を告げ るために副詞類を添え、さらに他動詞化させるという傾向がこの形からうかが えます。
 (3)はこのタイプの turn がもともと他動詞ですから、もとより目的語を 必要としますが、それが入る位置が原則として2型あります。ちなみに、tur n は他動詞にも自動詞にもなる複雑な使われ方をする動詞で、同時にまたたく さんの句動詞をも作ります。
 ついで、複雑構造を持つ句動詞を紹介しておきましょう。
  (4)  I / look forward to it.  (楽しみにお待ちしております)
  (5)  He / took away five / from twenty.
                       (彼は20から5を引いた)
  (6−a)He / kept away it / from the fire.
                     (彼は火からそれを遠ざけた)
  (6−b)He / kept it away / from the fire.
  (7)  He / put the key / into his pocket.
                     (彼はポケットに鍵を入れた)
  (4)   自+副+前+O
               look forward to+O    <他>(F類)
  (5)   自+前+O/+前+名
               take away+O/+from+名 <他>(E類)
  (6−a) 他+副+O/+前+名
               keep away+O/+from+名 <他>(G類)
  (6−b) 他+O+副/+前+名
               keep+O+away/+from+名<他>
  (7)   他+O/+前+名
               put+O/+into+名    <他>(B類)

 (4)は(1)の延長線上にある型で、「自動詞+副詞=自動詞」の形に、
さらに前置詞を添えて、(2)のように自動詞を他動詞化したものと見なせば わかりよいでしょう。
 (5)〜(7)の3種4型は後半部が「前置詞+名詞」の形ですから、これ を「前置詞句」と見なせば理解しやすくなります。すなわち、(5)は(2)、 (6)は(3)の延長線上にあるタイプと見なせます。
 (7)は『ライトハウス英語の句動詞』において「他動詞+前置詞」として 「B類」に分類されている型です。前半部が「他動詞+目的語」ですから、こ こだけを見ると一般的な単純な構造ですが、後半部が前置詞句の「前置詞+名 詞」の形が添えられているので、当社では最後の第7類目として整理していま す。つまり、「他+前」型ではなく、前置詞が前置詞句の一部になっていると 見なすわけです。
 (7)に属する句動詞はかなり頻繁に使われます。たとえば、He / got hi s purse / out of his pocket.(彼はポケットから財布を取り出した)という フレーズも同じ文型です。なお、out of は2語で1語なみの複合前置詞です が、かつて out of という概念を表わす前置詞がなかったため、ほぼ自然発生 的に out と of の2語を1語のようにして使うようになり、その使い方がし だいに確立されていったのです。
 当社が7種(3種または4種と考えてもいい)9型の分類法にこだわってい る事情をご理解いただけたでしょうか。文法学者には同意いただけないかもし れませんが、なんたって言葉は実用的であることが大切ですから、誰にでもわ かりやすくと思って、この分類を提案しました。じつを言うと、句動詞の世界 はとても奥が深く、1ページや2ページで言い尽くせるものではありません。
 最後になりましたが、この稿を借りて、『ライトハウス英和辞典』に感謝の 気持を捧げさせていただきます。この辞典の編纂者たちが「どこからどこまで を句動詞と見なすか」について苦労されたことが手にとるように見えてきます。 私たちが句動詞について勉強できるのも、辞書のおかげにほかなりません。