■“There's a nightmare in my closet”

2002.11.21(木)

絵本の大切さ

 絵本は英語学習者が必ず通過しなければならないジャンルのひとつです。
 幼児がまだ文字を読めないとき、絵本はふつうお母さんかお父さんから読んでもらいますが、しかも何十回も読んでもらいます。気に入った本なら、きっと百回以上は読んでもらうことでしょう。
 お母さんはストーリー・テラーになるわけですから、その言葉は吟味されたものでなければなりませんが、絵本作者はお母さんが語りやすく、かつ子供の胸をときめかすような言葉を組み立てます。
 絵本の言葉は日常会話とちょっと違いますが、子供の心を揺り動かし、その頭の中に言葉の核として組み込んでいくので、珠玉のものでなければなりません。絵本は言葉少なですが、そこには宝のような表現が盛られています。
 いまさら改めて言うまでもありませんが、グリムやアンデルセンの流れを汲むだけに、ヨーロッパの童話は素晴らしく、とりわけ英国系の怪奇童話は凄いの一語に尽きます。
 大英帝国は、ゲルマン民族によるイングランドを中心に、スコットランド、アイルランド、ウェールズと3つのケルト民族を併せて成り立っていますが、おどろおどろしいケルト文化とゲルマン文化が融合して独特の英国文化が育まれました。ハリー・ポッターもそのひとつで、底にケルト文化が敷かれていなければ、ああした“眩視感覚”の文学はとても出てきません。
 アメリカ東部には、ブリテン島とアイルランド島の各地域の文化的色彩が濃く残っていますが、そんな風土の中から現在も絵本の新作が生まれています。
 “There's a nightmare in my closet”(押入れの中に悪夢がある)はMercer Mayerの作品で、ニューヨークのThe Dial Pressから刊行された古い出版物です。当社の資料の1冊ですが、製作年も出版年も記されていません。作品紹介のキャッチコピーは次のように書かれています。

  A humorus bedtime story to chase away fears of the dark
  (暗闇の恐怖を追い払うおかしいおねんねの時間の物語)

 冒頭ページは不安げな表情の子供がひとりでベッドの中にいます。風にカーテンが揺れ、クローゼットの戸が開いた場面から物語が始まっています。

  There used to be a nightmare in my closet.

 上の言葉はその絵の説明です。子供がベッドから降りて、クローゼットの戸を閉め、ベッドに戻りますが、眠れません。灯りを消すと、ナイトメアが現われます。子供が勇気を奮ってナイトメアを脅すと、ナイトメアが泣き始めました。
 “Be quiet or you'll wake Mommy and Daddy.”(静かにしてよ。でないと、ママとパパを起こしちゃうじゃないか)と子供が言って、ナイトメアを自分のベッドに入れ、いっしょに寝ますが、そのときのセリフが物語の締めくくりになっています。

  I suppose / there's / another nightmare / in my closet, / but / my bed's not / big enough / for three.(斜線はシンタックス法による意味の区切りを表わします)

 そのあと2匹目のナイトメアが出てきますが、ベッドでは子供とナイトメアがいっしょにすやすやおねんねしています。
 小さい子供さんを持つお母さんは子供の好きそうな英語の絵本を丸善とか紀伊国屋で捜してきて、読んであげることが最良の英語教育になるでしょう。
 英語の発音に自信がないからと言って、何十万円も払って市販されているテープを買って子供まかせにしても、彼らはすぐに飽きてしまいます。絵本はお母さんの肉声で語らなければ、効果は半減以下になります。
 そのためにはお母さんかお父さんが英語のサウンドを子供といっしょに勉強する必要があります。妙な音、間違った音を子供に与えると、それが一生ずっとついて回ります。
 子供はお母さん、お父さんといつもいっしょにいたいのです。決して遅くありません。いますぐPV法から始めてみてはいかがですか。