■“English as a Second F*cking Language”
2004.5.7(金)
fuck を使って本音を語る
“fuck”に関する書籍は、これまで何種類も出版されてきました。本日はその中のひとつ“English
as a Second F*cking Language”を紹介しておきます。著者の Sterling Johnson
教授は「第二外国語としての英語」を革新的な方法で20年間以上も教えてきたことで知られる人物です。本書の著者紹介欄には、ジョンソン教授は現在カリフォルニア州の
Pacific Grove に居を構え、毎日 nice f*cking day をエンジョイしていると書かれています。
ひとまず裏表紙に出ている“Night at the Opera”と題した John と Mary の会話を紹介して、これに意味上の区切りを入れて示しておきます。
J : Mary, / would you / like to / attend the opera / this evening?
M : Fucking-A. / Should I / wear my black dress?
J : Why / the fuck / not?
M : Fucked / if / I / know / − Oh, / fuck! / I just / remembered. /
It / got / fucked up / in the wash.
J : Well, / fuck the opera, / let's / stay home / and / fuck.
M : Good fucking idea.
fuck 類が8回も出てきます。本文中に Fuckanalysis と題して解説がなされているので、これを参考にしながら説明を添えておきます。
1.メアリーがジョンに答えて fucking-A と言っているのは「強い肯定」です。“It's
okay for me.”といった感じの言葉です。
2.ジョンが口にした“Why not?”に the fuck を挟む言い方は、子供向けの映画では“Why
the hell not?”として、the hell を挿入句に使うのがふつうです。fuck を使うと、マーケットの半分以上を失いかねないからです。
3.次にメアリーが使った“Fucked if I know〜.”は短縮形で、完全文に戻すと“I'll
be fucked if I know, 〜 .”となります。“I'll be damned if I know, 〜 .”と言ったとき、damned
が damnation(地獄に落とすこと)と関係がないように、fucked にも特別な意味はありません。“I
don't know!”と言えば済むところをおしゃれに言っているだけです。
4.その次の fuck は間投詞ですから、Oh なしで使う人がたくさんいます。
5.fucked up は「壊れている」という意味で、酔っぱらったり、仕事がうまくいかなかったり、なんであれ、調子が悪いときに使う言葉です。この句動詞の訳語を精密に書き出すと、辞書の1ページ以上を費やすかもしれません。
6.次にジョンが言った“fuck the opera.”の fuck は「無視しろ」とか「忘れろ」と訳すとぴったりです。
7.そして、次の fuck について、同書は“Here, fuck is used in its primary
sense.”(この fuck は原初的な意味で使われている)と解説しています。
8.最後の fucking は形容詞型の強調語ですから wonderful と置き換えてよさそうですが、その前に
good があるところが微妙です。英語話者に聞くと、「そうねえ…」と言うだけで、誰もが説明しにくいようですが、本人たちにはよくわかっています。
fuck系の単語には、多様な意味が含まれますが、別の語と言い換えることが可能な語ではありません。fuckを使ってこそ、意味づけが生じてくるからです。fuck
は英語という言語を最も代表する単語と言えます。話者が主観的な気持を fuck
に込めるからです。
日本語の「クソ」は「クソばか」「クソじじい」「クソったれ」「クソいい」「クソくらえ」「クソにされた」などと使いますが、それと少しだけ似ています。しかし、fuck
のほうが何倍も利用頻度が高い語と言えます。
あるイギリスの女優が「一番好きな言葉は?」と聞かれて、「fuck」と答えて、にやりとしましたが、話者が“本音”を告げるとき、fuck
を挟むと、より適格な表現になります。英語話者の本音を理解するには、fuck
をやり過ごすことはできません。
本書は新書版でわずか88ページの小冊子ですから、日本人にも読破は可能です。本書の読み方がわかれば、この1冊で10冊以上の内容を学べます。好著です。