■書籍紹介/山口俊治著『基本英文読解辞典』
2005.9.28(水)
too…to〜の構文を実用化するコツ
【Q】高三です。too … to 〜という構文は「〜するには…すぎる」のように、後ろから訳せと教わりました。そうすると会話で言葉が出てきません。ネイティブの人はどんなふうに考えて使うのでしょうか?
(B・W)
【A】too … to 〜は大学受験の定石的な構文です。英語の構文解説なら山口俊治著『基本英文読解辞典』(語学春秋社)に優る本を知りません。同書には200の構文が掲げられていますが、その第63型に
too … to 〜のわかりやすい解説がなされています。
同書では200構文が綿密に計算・整理されていて、まさしく「選択して網羅する」という言葉がぴったりなほど、山口先生の文型(構文)理論には見事な一貫性があります。英語話者たちが参考にする本です。同書を完全攻略すれば、難関大学の受験くらいお茶の子さいさい、あとは英文を読む量
を増やせば英語の小説を読めるようになるでしょう。
too … to 〜型は話し言葉より書き言葉によく出てくる表現と言えます。映画では、弁護士、医師、作家、新聞記者、学者、政治関係者などの知的職業の人がよく使います。当社の資料に溢れんばかりの実例がありますが、『ケイン号の叛乱』(The
Caine Mutiny)の中に面白い例文を見つけました。
“I'm / too smart / to be / brave.”
「俺って頭よすぎて、(やみくもに)勇気を出すなんて(できないんだよね)」
ケイン号の副官が偏執狂の船長(captain)の罷免を海軍大将(admiral)に訴えようとして、仲間の士官(officer)たちを誘うと、最初は同意していたはずの小説家の士官が「やっぱりやめとこうよ」と自分がイチ抜けする理由として口にしたセリフです。「勇気を出したところで得にならんし、かえってとんでもない損をするぞ」という含蓄ある言葉です。
この例文には否定語が使われていないけど、実質的には否定文です。英語話者は最初に“I'm
smart.”と言って、自分を肯定することから始めますが、そのとき「とても」の意で
so や very を加えると、後半は that 構文にして、その中に否定語を入れます。
ところが、too という語には「あまりにも…なので、よろしくない」というニュアンスが含まれているので、“I'm
too smart.”とすれば「俺は賢こすぎるからねえ」となるので、聞き手はその段階であとに続く言葉は「できない」ことだろうと半ば推測します。
そのあと“to be brave”と聞いて、「(賢い奴は様子の見えないことに)猪突猛進する(ことはしないんだ)」と認識するわけです。
too という副詞がこうした表現を導く様子は、“It's too long.”と言ったとき、it
が長すぎて手に余るというニュアンスを含むことで理解できます。“It's too
heavy.”ときて“to move”で受ければ、「重すぎて、動かせない」状況です。
要するに、too … to 〜の構文においては、日本語式の思考法を脇にどかして、たとえば“I
was too tired.”(私は疲れすぎている)と言ったら、そのあとの“to swim any
more”“to do homework”“to work hard”などといったさまざまな場面を頭に思い描きながら、口に出して何十回も練習します。“too
hard”なら“to solve”や“to read”、また“too old”なら“to run”や“to
dive”など、この構文だけで何千何万もの文が作れるでしょう。
幼児はこの法則を苦もなく感性で会得しますが、高校生ともなれば、理屈を理解しないと身につきません。バブ・ゴーデンさんが口をすっぱくして訴えるように、理屈がわかったら理屈を忘れて、そのあと繰り返し練習さえしておけば、いつしか実際の会話で使えるようになっています。からだの奥深くに入ったものでないと実用には供しません。
“You're too clever not to understand how to do it.”
(藤田修司からの聞き書き)