■英作文の部品はチャンク(単語→文の要素→チャンク→文)
2006.3.10(金)
本日のメルマガは第600回目です。ちょっと長めですが、チャンクについて説明させていただきます。
英語には10の品詞がある
文を構成する最小単位を「単語」と言います。単語1個だけから成る一語文はさておき、英文はふつう2語以上の単語から成り立っています。そして、どんな単語もそれぞれ文中で自らに課せられた働きをしますが、似たような使い方をする語をいくつかの語群にグループ分けした状態を総称して「品詞」と呼んでいます。英語は一般に8品詞に分けられますが、その分類法は英文法学者によってまちまちで、どれか1つの理論が正しくて、ほかが間違っているという絶対的な基準はありません。
また、単語は1語あるいは2語以上で「文の要素」を作り、文中でそのおのおのが自らの役割を果たしています。古典的な英文法では、文の要素を主語・動詞・目的語・補語の4種類としていますが、この考え方はわが国の学校教育にも採用されています。
そして、品詞と文の要素との間には密接な関係があって、たとえば名詞・代名詞は文の要素では主語になる一方、修飾語として文の要素の中の部品になったり、また形容詞は補語になる性質があるものの、他方で名詞を修飾する役を担う文の要素の一部を務めることもあります。
ところが、前置詞の場合、<前置詞+名詞類>型の前置詞句に文の4要素に該当する対象がないことからして、現行の文の要素に関する英文法は理論的に欠陥があると言わざるをえません。そのため、前置詞句を補語に扱う文法が登場したり、イギリスのある英文法書は、前置詞句はもとより、副詞的な働きをする語群を「副詞類」と定義して、正式に文の要素の1つに加えています。そのほうが英語への理解が早まるからで、そうした立場からすると、品詞は下記に示す10種類に定めおく必要に迫られます。
名詞 (Noun) 主語、目的語、補語に用いる名詞句の中止になる語
代名詞 (Pronoun) 名詞の代わりをして、主語や目的語として使う語
決定詞 (Determiner) 直接・間接に名詞の前に置き、意味を限定する語
動詞 (Verb) 動作や状態を表わして、文の中心を務める語
助動詞 (Auxiliary Verb) 主語に伴って使われ、動詞の意味を補佐する語
形容詞 (Adjective) 補語になったり、または名詞を修飾する語
副詞 (Adverb) 動詞、形容詞、副詞、文を修飾する語
前置詞 (Preposition) 名詞や名詞句の前に置いて前置詞句を作る語
接続詞 (Conjunction) 語と語、文と文などを結び付ける語
間投詞 (Interjection) 文から独立して用いられる語
英文型を構成する11種の文の要素
私どもは文法重視主義を横目に、文型中心主義を貫く英語教育改革の立場を支援する者ですが、であれば、文の要素を中軸に据えて英文法を考えなければならず、ゆえに下記の11種の文の要素を用いて、すべての英文を分析する試みを提案しています。
主語 (Subject) S
目的語 (Object) O
補語 (Complement) C
副詞類 (Adverbial) A
動詞 (Verb) V
be動詞 (be-Verb) beV
助動詞 (Auxiliary Verb) aV
擬似助動詞 (Pseudo Auxiliary Verb )psV
否定語 (Negative) N
連結語 (Connective) J
間投詞 (Interjection) I
どんな英文も上記の11種の文の要素から成りますが、Aを加えた英国流にさらに beVを参考させると、英語の文型をS・O・C・A・V・beVの6要素で「動詞文」と「be動詞文」の2種類に大別できて、おのおの次のような基本文型を含みます。
〔動詞文〕
S+V型 (主語+自動詞)
S+V+O型 (主語+他動詞+目的語)
S+V+O+O型 (主語+授与動詞+目的語+目的語)
S+V+O+C型 (主語+使役動詞など+目的語+補語)
S+V+C型 (主語+連結動詞+補語)
〔be 動詞文〕
S+ be V+C型 (主語+ be動詞+補語)
S+ be V+A型 (主語+ be動詞+副詞類)
なお、助動詞以下を加えた形式で示すと、文型の数はうんと増えますが、考え方を複雑にしないため、be動詞文を独立させる以外は従来の英文法の文型に則って、上記の7文型にとどめおきます。そして、文型中の1つの文の要素の中をさらに細かく文の要素に分けなければならない文もあり、また2つ以上の文を1つの文にまとめた「重文」や「複文」もありますが、どんな文型であれ、前期の7文型の範囲内に収まります。
8種のチャンクを意識下に取り込む
文の要素はいくつか寄り合って「文の要素群」を構成しますが、この語群を「チャンク」と言います。すなわち、英文は単独または複数のチャンクからできているわけです。
以上を要約すると、個々の「単語」は品詞という役割を果たしながら、一方で単独もしくは複数で「文の要素」となり、文の要素は単独または複数で「チャンク」を作り、最終的に単独あるいは複数のチャンクで「文」を形成しています。
母国語話者は発音をまったく意識していないし、頭の中で瞬時に単語選びをしているかもしれませんが、単語の文法的役割を意識することもないし、また文の要素が顕在意識にのぼることもありません。ただ脳の引出しからチャンクの大きさごとに言葉を取り出し、ほとんど無意識にいくつかのチャンクを配列して文型に組み立てているだけです。
英語話者は常にチャンクごとに文を作っているわけですから、その形式を学ぶことが効率のいい英文の理解につながりますが、具体的にはとりあえず下記の8種類の基本チャンクの肯定形・疑問形・否定形・否定疑問形を第1段階として身につけます。
1、名詞句 名詞句の作り方を身につける
2、前置詞句 前置詞句の作り方を身につける
3、代名詞+be助動詞・(疑似) 助動詞 主語の気持の表現形に慣れる
4、動詞+副詞類 自動詞の使い方をものにする
5、動詞+目的語 他動詞の使い方をものにする
6、動詞+目的語+目的語 授与動詞の使い方をものにする
7、動詞+目的語+補語 目的語+補語の関係に慣れる
8、動詞+補語 連結動詞の使い方をものにする
疑似助動詞には semi-auxiliaries と呼ばれる have to、be going to、be about
to などの類いや semi-modals と呼ばれる need to、ought to、used to などの類がありますが、これらを含めると助動詞の数は多く、そのすべてを意識下に取り込むには地道な練習が待っています。しかし、構造的にはほとんど同じ形をとるので、容易に覚えられます。
第2段階ではwh疑問文をものにし、第3段階では連結語の入った文型を攻略しますが、英語話者はこれらのチャンクを幼児期から何千回、何万回と口にしながら身につけてきたわけです。非英語話者は英語話者が通ってきたやり方に似た繰り返し練習をすることによって、及ばずながら自分の言いたい英文を自らの脳で処理できるようになり、書き言葉での英文の解釈や英作力はもとより、話し言葉の能力も飛躍的に向上します。
(編集部)