■オノマトペで知る英語音(3)
2008.1.12(土)
〔y〕は喉から絞り出す音
英語の有声子音〔y〕は、長母音の〔ee〕とよく似ているため、半母音とも言われます。〔y〕と言うとき、舌の腹を口の中の天井にくっつけるほど大接近させて、舌の左右が上の奥歯の歯茎を押しつけた状態になります。〔y〕は〔ee〕より舌に力を入れた状態で音を出すので、「スーパー
ee」と表現されます。
この音声は日本語のヤ行の中の子音と同じ音ではないかと指摘されがちですが、舌の筋肉の働きが弱いと、英語の〔y〕には聞こえません。「ヤ・ユ・ヨ」の音を言うときは、舌がほとんど口蓋に触れないし、筋肉も緊張しません。似てはいるけど、〔y〕とヤ行の両者は本質的に違う音と見なしたほうが新鮮な気持で練習に取り組めます。いうなれば、〔y〕は喉から「絞り出す音」と表現できるでしょう。
〔y〕を代表する音声はなんといっても「承諾」を表わすyeahおよびyesです。二つ返事にしろ、渋々の納得にしろ、英語の肯定的な承認は〔y〕の音声がふさわしいようです。yeahの変形でyepまたはyupと表記する例もありますが、この語尾の〔p〕は破裂音ではありません。
〔y〕を用いた代表的なもうひとつの擬音声は「悲鳴」です。日本語の「ワアーッ」「ギャー」に相当するyaaaやyaahなどがそれですが、後者の語尾に見られる‘h’は喉からストレートに出る半母音だから、この2語は書き方が違うだけと見なせます。yaaghとかyaarghと表記する場合もありますが、この両語に見られる〔gh〕の中の‘g’は発音しません。また、後者に見られる半母音系の‘r’は、舌を奥に向けて発音する巻き舌音だから、直前に示した擬声音とほとんど同じ発音で、ちょっぴり強調された絶叫調の悲鳴になるだけです。
日本語の「ゲェー」や「オエッ」に当たるyechやyecckはゲロを吐くときの「嫌悪」や「不快」を表わす音声で、やはり喉から絞り出されるオノマトペです。
「イヤッホー」や「ワーイ」など、気持が高揚したときに発声する「歓喜」の声はyahooやyoohooに代表され、またyippee、yippee、yippeeなどとも表記されます。「ワハハ」や「ハッハッハ」に相当する「大笑い」のyockも喉の奥から引きずり出される音です。
「おいしい」「うまい」「うめぇー」などの「美味」を表現する擬声音のyum-yumやyumも口の中でムニャムニャ言う音声ですが、やはり舌の後方を持ち上げて軽めの絞り声を出すので、〔y〕の文字で示す音声になります。
「あくび」は「フワッー」などと言って口を大きく開けるけれど、口の奥で喉の通
り道がいくぶん狭くなるものの、やはり〔y〕で始めるyawnの綴りになります。
yap、yip、yelpは子犬が「キャン」と鳴く動物が喉から絞り出す声です。狼の鳴き声はyelkで、狐のそれはyurrと表記します。英語話者には首の細い動物の鳴き声は〔y〕の音に聞こえるようですね。
ちなみに、〔y〕で始まる擬態音には、何かを引っ張るときの「グイ」に相当するyankがあります。いかにも力の入った音と綴りだと思いませんか。
なお、日本語の音声をローマ字を用いて示す方法があり、これにはヘボン式と訓令式の2種類があります。前者は英語の発音に似せた方式の表記法ですが、後者はたとえば通
信などの目的から作られた別の方式ゆえに、実際の発音とはかなり異なる表記になります。