■オノマトペで知る英語音(7)
2008.3.29(土)
〔ch〕は軽やかな音
英語の擬声音に見られる語頭の〔ch〕を大別すると、(1)人が話したり、物を食べたりする音、(2)小鳥や昆虫の鳴き声、(3)金属音の3種類に分けられます。
何かを食べる時の「ムシャムシャ」に相当する綴りは champ、chomp、chump です。この3語は、語中音の短母音〔-a-〕〔-o-〕〔-u-〕が異なるだけで、これらを仮名で表記すると、単独にはいずれも「ア」としか書けません。
日本語のローマ字学習においては、アルファベット文字を借用して「アイウエオ」=「aiueo」と表記するため、英語の5つの短母音〔-a-〕〔-e-〕〔-i-〕〔-o-〕〔-u-〕を「ア・エ・イ・オ・ウ」であると錯覚しがちですが、これらをあえて仮名で示すと「アエイアア」のようになります。英語と日本語の発音システムがまったく違うことに早く気付くべきです。
とはいっても、日本語の仮名表記の場合、単語になれば、cat(ネコ)、cot(折りたたみ式ベッド)、cut(切る)はそれぞれ「キャット」「コット」「カット」と書きます。じつは英語の母音にデリケートな差があることに日本人もそれとなく気付いているのです。
英語話者はたしかに〔-a-〕〔-o-〕〔-u-〕の微妙な違いを使い分けていますが、champ、chomp、chumpがほぼ同等という事情は、そんなに大差がないことを物語っています。なお、chompは「ムシャムシャ」「モグモグ」「クチャクチャ」「ガブッ」「ガブリ」「バクッ」など、食べ物にかぶりつく様子をすべてあらわす擬声音として使います。choff(バクッ、ガブッ)は噛む音です。chewはチューインガムを「クチャクチャ」やるときの音です。
chatterは「ペチャクチャ」とお喋りするときの擬声音です。chat またはchitchatは「おしゃべり」「無駄話」「噂話」を意味する単語です。chut は「チェッ」という舌打ちの擬声音で、cheeは「チーッ」「チッ」「チェッ」という印象の音です。chckleは「クスクス」「クックッ」といった忍び笑いを表わします。chooはahchoo(ハクション)と同じ「クシュン」というくしゃみです。また、chokeは「ウッ」「グッ」「ウグッ」「ウウ」といった首を締められたときに出る声です。
chat-chat(キャッキャッ)とかchatter-chat-chat(キーキャッキャッ)は猿の鳴き声で、人の喋る声からの連想でしょう。choo-choo は蒸気機関車の出す「シュッポシュッポ」で、やはり連想音と見なせます。ちなみに、charlatanは「大ほら吹き」という意味の単語です。
小鳥の鳴き声にはcheep(ピー、ピーピー、ピヨピヨ、チューチュー、チー、チーチー)、chip(チッ、チュン)、chirk(ピーピー、チーチー)、chirm(チューチュー)、chirrup(チュッチュッ)、chitter(チュンチュン)などがあります。虫の鳴き声にはchurr (チー、チリリリ、チュルルル)、chirr( チリッチリッ、チーチー)があり、chirp は小鳥と虫の両方に用いて、「チュッチュッ、チュンチュン、チッチッ、チーチー」といったところです。
ちなみに、chuckは「コッコッ」「クックッ」というニワトリを呼ぶ人の声です。
金属が触れる代表的な擬声音はchink(チリン、カチン、チャリン)です。cha-cha-cha(チャチャチャ)というダンスは伴奏の音から連想された命名です。chokは「ガツッ」「ガッ」といった印象の擬声音で、手裏剣が何かに突き刺さった音です。chop(バッ、ガッ、バキッ)は空手チョップで有名ですが、昔から斧を使うときの音でした。空手をするときはchud(ガッ、ドカン、バキッ)がよく使われます。
鈍い衝撃音としては、chonk(ガン、ガツン、ドカン、ドシン、ガチャン、ボトン)が利用され、機械のレバーを操作するにはchunk(ガシャン、ガチャン、カタン)が最適のようです。chugやchuff(ダッダッ、バッバッ)はエンジンの音を示します。chunter およびchunnerは車が「ガタガタ」と進むさいの擬声音ですが、人が「ブツブツ」と呟くときにも使えます。
子音の〔ch〕は無声音です。〔ch〕と言うとき、顎を上げて、口の開け方は親指が入るくらいの広さにして、上下の歯の間隔は非常に狭くします。唇の形はラッパ状にして、反りぎみにするので、口から出てくる音は拡大されます。舌は前歯から硬口蓋にかけて平らに押しつけた状態にして、音を出すとき瞬間的に舌を下に滑らせるので、口の中にたまった空気が破裂します。そのとき、歯の隙き間から摩擦を伴う音が出てくるので、〔ch〕は破擦音と呼ばれます。