■オノマトペで知る英語音(9)〔l〕
2008.6.28(土)
側音〔l〕は子守唄に代表される
子音〔l〕が緩やかに連続すると、安らかな音色を醸し出して、言葉が人の耳に心地良く響いて、思わず眠りを誘います。〔l〕は lullaby (子守唄)に代表される音楽性豊かな英語に特有の音声で、lulla およびその変化形は、子守りをするときの子守唄の擬声音として使います。ちなみに、lull は「寝つかせる」「なだめる」という意味を持つ単語です。
〔l〕で始まる lap は、滑らかな印象の擬声音で、小さな波が浜辺・岸辺に寄せる「ヒタヒタ」「ピチャピチャ」であったり、あるいは動物が水を飲んだり、液体状の食べ物を口に入れるときの「ペロペロ」「ピチャピチャ」に相当します。
lash は名詞または動詞として「鞭打ち」を意味する言葉として使いますが、その「ピシッ」「ピシャ」「パシッ」という擬声語には whip が使われるので、この語は擬声音とは言い兼ねます。また、leap は本来「跳ぶ」「跳び越える」という意味で、コミックの添え言葉として示されると、「ヒョイ」「ピョン」という擬態音になります。
lumber は「ドシンドシン」「ドタバタ」「ゴロゴロ」など、車がでこぼこ道を走ったり、太った人が歩くさいの足取りの重量感を示す擬声音として用いますが、この音は後半の〔m〕以降に重きが置かれています。
lisp は木の葉が風に揺れる擬声音の「サラサラ」であると同時に、名詞は「舌のもつれ」、動詞には「舌がもつれて発音する」という意味があります。また、loll は舌が「だらりと垂れる」ことを表わす擬態語的な単語だから、〔l〕が tongue (舌)と深い関係にあることを示唆しています。すなわち、tongue のラテン語は lingua で、また language (言語)の綴りはフランス語の影響を受けて形成されています。
la-di-da は「へへえ」「ほほう」といった気取った感じの間投詞ですが、laugh (笑う)や laughter (大笑い)を含めて、〔l〕は口調と縁が近い音声です。lallation とは〔l〕音を正確に発音できない現象で、実際〔l〕は幼児には難しく、いうなれば子供の舌足らずを指します。lallation の語源は[lalla(子守唄を歌う) +tion]と分析できますが、とどのつまり、〔l〕は子守唄の音と言って差し支えないでしょう。
音声学的に言うと、〔l〕は大まかに〔clear-l〕と〔dark-l〕の2種類に分けられます。そして、たとえば前者の例は leap の語頭音で、後者の例はpool の語尾音で示されます。
語頭音の〔l〕と言うとき、口を2センチ弱ほど開けて、下唇をやや平らにして、舌先を前歯の裏に当てますが、そのとき舌先は歯茎の付け根から歯に跨って接触します。したがって、舌先が〔t〕や〔d〕よりやや下側にずれるため、舌が伸びて、左右の両側に隙き間が生じます。
その状態のままでのどから声を出すと、舌の左右の隙き間から空気が共鳴しながら抜け出るので、音声学では〔l〕を「側音」と称しています。〔l〕は声帯を震わせて出すので、有声音に分類されます。
なお、イギリス英語は少々〔r〕音に明瞭さを欠きますが、〔l〕音を明瞭に発音するので、両音をはっきり区別できます。〔l〕音を日本語のラ行に置き換えると、英語の音声には聞こえません。日本語のラ行は、舌を弾いて音を破裂させるので、弾音と呼ばれ、むしろタ行やガ行の音の出し方と似ています。したがって、ラ行は英語の〔t〕や〔d〕に似てくるわけで、〔l〕が破裂音にならないよう気を付けなければなりません。l