■オノマトペで知る英語音(10)〔g〕

2008.7.26(土)

〔g〕は喉から絞り出される音

 子音〔g〕を語頭音とする擬声音には、大別して<g+母音>および<子音ブレンドのgl-またはgr->で始まる2種類があります。〔g〕は日本語の「ガ行」に似ているので、日本人にはそれほど難しい発音ではありませんが、後者のブレンド音の場合は子音の間に母音が入らないよう注意する必要があります。
 子音〔g〕は〔k〕の有声音だから、両者の喉の使い方は違いますが、口の動かし方はまったく同じです。〔g〕の語頭音を発音するとき、口は1.5センチほど開けた状態にします。前から見ると、上下の前歯の間から口の中がわずかにのぞける程度です。そして、舌の後方をうんと持ち上げて軟口蓋に当て、その場所でいったん肺から出てくる空気を堰き止めますが、喉を鳴らすと同時に、舌を急に下に降ろすと、鈍重な破裂音がいっきに出てきます。したがって、ガ行より〔g〕のほうが力強い音になります。
 また、〔g〕が語尾音になるとき、舌の後方で空気の流出を素早くストップさせるため、これは閉鎖音になります。つまり、口から空気が出てこないので、この種のサウンドは無気音と呼ばれますが、「ン」を除けば、全音節に母音を伴う日本語を母語とする日本人には非常に聞き取りにくい音声になります
 〔g〕はすなわち、口の奥を閉鎖したうえで、喉を鳴らして絞り出すサウンドですから、さしずめ「喉の音」と題してよく、擬声音としては、うがいをするときの「ガラガラ」に相当する gargle に代表されます。それとよく似た gurgle は赤ちゃんが喉を鳴らすときの擬声音で、これは水が「ゴボゴボ」「ガボガボ」と流れる音にも使います。
 gulp は「ゴクリ」「グイグイ」で、guzzle は「ガブガブ」「グビグビ」です。gurk はゲップを表わす言葉です。鵞鳥の鳴き声は gaggle(ガアガア)で、七面鳥が喉を鳴らす擬声音は gobble(ゴロゴロ)です。gobble はまた、空腹時に食べるときの「ガツガツ」「パクパク」という擬声音にもなります。
 喉に関係する〔g〕音としては、gah や gaargh(ギャー、ヒャー、ギェー)がよく使われます。こうした悲鳴系にはまた、gak(ゲェッ、グッ)や gawk(ギャッー、ゲーッ)があります。gasp は「ハッ」とか「グッ」という喉を詰まらせる音でもありますが、「ハアハア」「ゼイゼイ」という喘ぐ声にも使います。
 guffaw は「ガハハ」あるいは「ゲラゲラ」などの高笑いです。giggle は「クスクス」笑いです。gabble は訳のわからないことを「ぺチャクチャ」喋るときの擬声音です。gibber も早口の「ぺチャクチャ」ですが、「キャッキャッ」という猿の鳴き声にもなります。また、寝息の goo goo は日本語の「グーグー」とほとんど同じです。
 擬態音系には、galunk(ゴロン)、ging(ピーン )、gush(ドッ)、goggle(ギョロギョロ)などがあります。gong は「ゴーン」という銅鑼の音です。
 さて、〔gr〕と発音するときですが、〔g〕では舌の後方を持ち上げ、間髪を入れずに〔r〕で素早く舌先を巻き込む舌の動きは時間的に非常に難しく、実際には舌をちょっとしか曲げていません。しかし、ライオンの唸り声の grr であれば、〔r〕音が複数になるので、舌先がしっかり巻かれて、迫力のある音声が発せられます。groar(グオッー、)growl(ウウーッ、ガウッー)、growf(ウワウ、)growr(ウガッー)はいずれも猛獣系の唸り声です。gronk は恐竜の叫び声の「グォッー」に当たります。
 groanは人が苦脳するときの「ウーン」に相当します。人の声としては、grumble(ブツブツ)、grump(ムスッ)、grunt(ブーブー)などが使われます。〔gr〕で始まる擬声音には、そのほか grate(ゴリゴリ)、graunch(ギーギー)、grunch(ギシッ)などの耳に不快な音もあります。grab は物を掴む様子から連想された「サッ」という擬態音になります。
 〔gl〕で始まる擬声音は、水音を表わす glub(ブクブク)や glug(ドクドク)があり、また人が水を飲む表現として、glump(ゴクン)、glomp(ゴックン)、gloop(ゴクリ)が用いられます。また、glitch はうんちを踏んづけたときの「グチャ」「ヌチャ」に使います。glop は「ドロドロ」状の食べ物でもあり、泥状のものを顔面に押し当てたときの「ブチャ」「ガボッ」にも相当します。〔gl〕にはまた、当惑したときの gleep(キェッー)、人が話すときの glib(ペラペラ)、重い物が転がる音の glunk(ゴトン)があります。
 なお、〔gl〕で始まる単語には、glass(ガラス)をはじめ、glaze(釉薬)、glimmer(ピカピカ光る)、gloss(艶)、glacial(氷の)、glory(栄光)などがあり、「輝く」イメージに満ち満ちています。
 ちなみに、イギリス人は一般に〔r〕を発音するとき、舌を軽くにしか巻きませんが、〔l〕音をきわめて明瞭に発音するため、決して〔gr〕と〔gl〕が混同されることはありません。