■わが国の国際化は沖縄県から

2006.1.14(土)

 新潟県中越地震以来、テレビから旧山古志村の錦鯉事情がたびたび流れてきます。今年の山古志地方は例年より1カ月早い豪雪に見舞われて、錦鯉生産者の中には晩秋の野池からの鯉の取り上げに遅れた人もいて、その池の鯉はいま氷の下に閉ざされています。昔の鯉は強かったけれど、最近の稚魚は冬場に温水飼育されて、基礎体力が低下しているので、結氷下の鯉が春を待つことはないと思います。
 山古志では少なからぬ住民が錦鯉で生計を立てており、錦鯉生産者は「鯉あっての山古志だわ」と言いますが、オイル代はかさむし、雪かきの手間に追われるしで、一難去ってまた一難といったところです。錦鯉は「生ける宝石」と称されて、海外で非常に高い人気を誇っています。錦鯉はまた「国魚」とも言われますが、じつは山古志で生産される錦鯉の80%は輸出です。昨今、欧米はもとより、アジア各地、南アフリカ、オーストラリア、ブラジルなど、世界の五大陸で錦鯉を飼っていない地域はありません。
 当社では錦鯉の月刊誌を発行していますが、2006年1月号で通算457号を迎え、発刊後すでに40数年が経過しています。数年前まで英文の月刊誌も発行していましたが、現在は月2回の有料eメールマガジン切り替えました。たったいま当社のカメラマンが上海から帰ってきたばかりで、昨年は南アフリカの品評会の取材に出掛けることもありました。審査員はたいてい日本人ですが、英語を話せる日本人が皆無なので、記者は通訳を兼ねることになります。
 錦鯉の愛好者はもうとっくに外国人のほうが多くなりました。新聞の囲碁欄を見ると、トッププロの半分以上は日本人ではありません。相撲の看板力士も、ブルガリア人、蒙古人、グルジア人などで、私たちはプロレスと同じ事情になれっこになりました。
 海外に出掛けて活躍する日本人の芸術家やスポーツマンも多くなりました。ゴルフの宮里藍選手やサッカーの中田英寿選手の語学力は大したもので、言葉は道具にすぎないとは言うものの、現地の言葉でコミュニケーションできるほうが成績は上がるようです。
 わが国の人口はどんどん減少しているうえ、急速に老齢化が進行しています。日本がもしこのままの経済力を20年後も持ち続けられるとしたら、老人介護の仕事は人口の多いフィリピン人の看護士にお世話になるかもしれません。フィリピンは国策として英語を話せる人材作りをしているからです。身の回りの世話をお願いする英語くらい身につけておきたいものです。
 国際化はどんどん進行しています。世界中のどの国の人も2カ国以上を話すのはもはやふつうのことになりました。ところが、TOFELやTOEICでのわが国の成績はいまだに最下位あたりをうろついています。日本人の英語力を上達させる方法はないものでしょうか?ーーそれがあるんです。
 沖縄には約3万人のアメリカ人がいて、その中には日本語が流暢で、かつ英語を上手に教えることのできるプロが何人かいます。彼らを活用して、沖縄をわが国の英語教育改革の発信地にしてはいかがか、とわが社の社長が沖縄復帰前から活動してきましたが、その訴えが昨年暮の12月20日の『琉球新報』の「金口木舌」の欄に取り上げられました。

<他府県に比べ沖縄では外国人に出会うことが多い。ほとんどは米軍人・軍属とその家族で、使う言葉は英語。そんな状況を「恵まれた環境」ととらえ、英語教育の本を出版している人がいる。▼新日本教育図書(下関市)代表取締役の藤田修司さんは、復帰前から沖縄を頻繁に訪れている。沖縄には英語を母国語とする外国人が多いことに早くから着目。県内在住外国人に英語に関する本を執筆してもらい、出版している▼例えば「語源辞典英単語マニア」の著者はメルライン・フライダさん。米空軍の技師として来沖、そのまま住み着いた。オランダ語、フランス語、ラテン語など十の言語を操る。著書は英単語の語源を分かりやすく説明している▼バブ・ゴーデンさんもフライダさん同様、米群基地に勤務後、定住した。ゴーデンさんは著書「英語のサウンドとリズム」で、早い時期から身に付ける必要がある英語の正確な音声とリズムについて説いている▼二人とも、なかなか身に付かない今の日本の英語教育には疑問を感じている。だが教育方法を改善すれば、日本人の英語力はもっと高くなると信じている▼「沖縄を英語教育の発信地にしたい」という藤田さん、英語教育の面でこれだけ豊富な人材を生かさない手はない。

 太平洋戦争後の27年間、沖縄は米国統治下にありましたが、そのとき米国留学制度があって、米留後の帰国者たちは英語を使って政治・経済・文化などの面で沖縄社会をリードしていました。戦前の移民に重ねて、第2次移民があったと思えるほど沖縄県出身の海外移住者は多く、世界のウチナーンチュー(沖縄県人)大会が毎年行なわれているほどで、どの家庭にも海外定住の親戚縁者が数多く、同地の国際化は他府県に抜きん出ています。現在もなお、約3万人の英語話者が生活している地の利があり、英語を覚えたいという県民のニーズも高く、効果的な英語教育を実施できる場は沖縄県をおいてほかには考えにくいと思います。