■|ko|u|ku|(校区)と〔k〕〔o-e〕〔k〕(coke)はどう違うか?
2006.2.25(土)
先日、当社の社外校正者に仕事を発注したら、「固定」という語に印が付いて、そのページに付箋が貼られて、意味不明という注意書きが添えられて返ってきました。
この「固定」は英語話者が書いたメモで、本文と関係ないので私どもは見落としていましたが、じつは「肯定」のことでした。affirmative
とメモればいいものを、英語話者は一般に自分の勉強のために常に漢字を使いたがります。
で、当事者に間違いを指摘したら、「えっ、違うの?」とびっくりしました。彼は「肯定文は基本形だから、固定された文」と長い間ずっと勘違いを続けてきたそうです。
肯定を仮名で「コウテイ」と書くと4音節であることがわかります。ローマ字に移すと|ko|u|te|i|となって、最初の母音の
'o' の次の母音の 'u' が別々に発音されることが見えてきます。
英語でこの「コウ」の中の母音(オウ)に似た音は coke(〔k〕〔o-e〕〔k〕の3音から成る1音節の語)中に見る〔o-e〕ですが、この音は二重母音であっても、日本語の母音2つを続けるときのような「オ|ウ」という刻みはなく、いっきに「オウ」と発音する英語特有の母音です。
したがって、英語話者には「コ|ウ」は「コ」だけしか聞こえないわけです。校・口・広・工・公・功・弘・甲・光・向・江・行・孝など、日本語に何百とある「コウ」を彼らはたいてい「コ」と聞いてしまうわけで、ときどき気の毒になることがあります。日本語の発音は表面的にはやさしいようでも、漢字関係の音は中国語由来だから、けっこうな難しさがあります。日本語の日常語がぺらぺらの外人さんでもじつはこんな簡単なことがわからない場合があるのですが、私たち日本人にとっては当たり前のことだから、残念ながら気付いてあげられません。学校や広告など、よく使う単語を利用して発音を直してあげ、彼らの日本語力が「効」果的に「向」上することを実「行」してみてください。
以上、coke(〔k〕〔o-e〕〔k〕)と「校区(コウク)」(|ko|u|ku|)が似て非なる発音であることがおわかりになったと思うのですが……。
なお、〔o-e〕を含む語には、code、cone、hope、bone、home、dome、note、hole、joke、rope、pole、note、mole、lone、zone、sole、robe、quote、smoke、close、globe、grove、stone、froze、broke、stove
など書ききれません。
〔oa〕は〔o-e〕の「別の綴り」で、oat、boat、roast、coat、foam、loam、goal、goat、soap、coal、road、coast、throat
などがあります。〔ow〕と〔o〕も別の綴りで、〔ow〕には crow、glow、grow、row、sow、blow、show、slow、snow、throw
などがあり、〔o〕では go、no、so などがあります。
日本人は1音節の coke を「コ|ウ|ク」のように3音節で発音する癖がありますが、それでは相手に通じません。coke
を注文するとき「コウク」と言ったら cocoa が出てきたり、coffee を頼むとき「コーヒー」と言ったら
coke が出てきたという笑うに笑えない実話はたくさんあります。
(K・T)