■“You're Invited to Mall Party”(Mary-Kate & Ashley)より

2002.12.6(金)

子供はwantという単語が大好き

 “Mary-Kate & Ashley”という「アメリカ版ふたりっこ」をご存知ですか?
 小学校5年生か6年生くらいの双子の女の子が主人公のビデオ・ムービイで、いくつかあるミュージカル版が1本10ドル弱で売られています。5本とか10本のセット物を購入すれば、単価が7ドルくらいだと思いますが、手元にぜひ1本くらいは置いておきたい英語教材です。
 その作品の多くは15分物で、ミュージカル仕立てになっているので、歌の部分が3分の2を占めています。したがって、セリフは180くらいしかなく、フレーズの数にすると250前後だと思います。“Mall Party”という作品を見てみましょう。  “Mall Party”には250強のフレーズが入っていますが、その約3割が挨拶とか返事などの「間投詞」(HiやYeah!)または呼びかけ(人名)です。さらに「一語文」(Exactly!やSureなど)や「省エネ文」(A mall party?)といった短い文を省くと、文らしい文は約50%しかありません。
 そしてさらに、“Have fun.”、“I don't know.”“Come on.”“No, thanks.”“What's that?”などの初級者でも知ってそうなフレーズを除くと、学習が必要な残りのフレーズは50 余りになります。つまり、この50なにがしかのフレーズを正確に聞き取れれば、アメリカ人と同じ態度でこの作品を楽しめることになります。
 ところが、事はそう簡単ではありません。よく知っているフレーズであっても、アメリカの子供たちがふつうに話している言葉には聞き取りにくい語句が多く出てきます。
 この作品の場合、おもに3つの理由があります。  聞き取りが難しい第1の理由は、日常的によく使われる語句が誰もがよく知っている言葉ゆえに、短縮形で使われてしまうということです。すなわち、goint toがgonnaになると、音の長さが半分以下になるので、「音則法」を知らないと、やさしい語句すら聞き取れません。英語話者の大人が、子供たちの言葉を明確に聞き取れるのは、音則法を身につけているからなのです。
 第2の理由は、子供はやたら語句を省略して使うということです。疑問形の語頭にくるdo youやbe動詞などをしばしば省くので、フレーズがどんどん短くなって、聞き慣れていないと、聞き落としかねません。
 第3の理由は、小学生の口は楽器としてまだ未完成な状態にあり、大人が話すように明確な音声を作れていないことです。つまり、子供たちは自分の耳に聞こえた音を自分の口から出すよう訓練中なのです。
 では、どんなトレーニングをすればいいのでしょうか?  この稿では「消去法」で話を進めていますが、つまり多く使われている単語から攻略していく方法がいいでしょう。たとえば、子供はwantという単語を非常によく使いますが、“Mall Party”の中でもwantを使った表現が17回も出てきます。これはフレーズらしいフレーズの15%弱の頻度です。そのいくつかを掲げて検討してみましょう。

 (1) Do you want to go?(あなたたち、行きたいですか?)  (2) What do you guys want to do first?(あなたたち、最初に何をしたいの?)  (3) What do you want to do now?(いま、あなたたちは何をしたいの?)  (4) Wanna play with us?(俺たちと一緒にプレーしたいかい?)  (5) Wanna get somethig to eat with us?(俺たちと一緒に何か食べたいかい?)  (6) We won't.(私たち、したくない)  (7) I want a pair of boots.(私はブーツが欲しい)  (8) Polly doesn't want a cracker!(ポリ−はクラッカーを欲しくない)  ちなみに、(8)はparakeet(インコ)の言葉です。

 (2)はyouの複数をyou guysという言い方をしているので、日本人には発音しにくいのですが、このセリフは0.8秒くらいしかかかっていません。“Mall Party”には1秒以上かかったセリフはいくつもありません。  (4)(5)は文頭のdo youが省略されて、さらにwant toがwannaになっています。  以上のように1語ずつ丹念に攻略していけば、最後に全編がわかるようになります。音則法という基礎があれば、どんなものでも素晴らしい教材にできるのです。