■自らの学習法に沿った視聴用教材として自らで編集する

2008.8.30(土)

 『英語のサウンドとリズム』に寄せられる「愛読者カード」の中で最も多いご意見は、CDが使いにくいという指摘です。最近の投稿例を掲載させていただき、併せて当社の考え方を改めて紹介させていただきたく存じます。

【Q】CDが chapter ごとでなく、まとまっているので実際の現場では使えない。chapter ごとに入っているCDを望む。そうでないとこの本もテキストとして仕様不可。付いているCDではrepeatできない。ただ読んでいるだけでは練習できず聞くのみになってしまうので使用不可。

−−Sh.S.(女性、Ch県F市在住、講師)

【A】楽器を学ぶ人は、指導者から基本レッスンを受けたり、専門学校で学習するなどして、それらに習熟していきます。アナウンサーや声優・俳優を目指す人もまた、上手に話すための基礎技術を勉学・実践したあと、それぞれの職業に就きます。
 ひとつの楽器をモノにするには、同じ音を出す練習を何千回何万回と繰り返す必要がありますが、母国語の会話は、特別なレッスンを受けなくても、周囲の人々が話すのを聞くうちに、誰もが日常会話に困らない程度の能力を自然に身につけます。
 外国語の学習は、じつは楽器の習得に似ているので、それと同じようなトレーニングをしなければならないはずですが、音は口から容易に出てくるので、似て非なる相手に通じない発音であるにもかかわらず、世間一般は英語学習を安易に考えるようです。ピアノ学習では、赤バイエル、黄バイエル……ソナチネなどと段階的に「教則本」を攻略していく練習法がほぼ完成していますが、外国語学習での方法論はまだ確立されているとは言えません。
 当社は英語関係の出版物を手掛けるに際して、1年間48レッスンの「教材」を1985年から準備して、アメリカ人と日本人の講師のコンビで1教室(3歳〜小学生低学年)だけの英語教室を3年間、つまり同じ生徒に同じ内容を3回繰り返して教える実験をしてあと、そのデータを礎にして『YESの英語』と題する教則本を制作して出版しました。しかし、残念ながら、インストラクターに指導力がなければ、この教則本が役に立ちにくいことを悟り、改めて英語の音声と文型を身につけるための普遍的な教則本を作ることの難しさを思い知らされました。
 なお、教則本と教材の違いについて、当社は小学館刊行の『新選明解辞典』の定義に基づいて使い分けています。同辞典には「教科書」および「教本」を併せて、それぞれ次のように解説されています。

  教 材…授業と学習に必要な材料。
  教科書…教材を集めた書物。テキストブック。
  教則本…楽器演奏や自動車の基本的な技巧を順々に記した練習用教科書。
  教 本…教科書。教則本。

 『英語のサウンドとリズム』は教則本の形式を視野に入れながら作りましたが、読者には教材(もしくは教科書)として使っていただければと甘えてもいます。つまり、本書に添付されたCDは、学習者のそれぞれの学習目的に沿って、再編集していただくことを念頭に置き、英語の音声学習に必要な内容を欲張って多めに入れ込んだので、このままでは使いづらいのは当然だと思います。
 私自身も英語学習において過去さまざまなテープ類を購入して、必要な部分のみをダビングし、自分で作り直したテープを車の中などで聞きました。再編集は面倒なようですが、自分の実力より低すぎる内容を重ねて学ぶのは無駄だし、少々の手間をかけても、編集作業自体が血肉にもなるし、むしろ勉強の効率が良くなると私どもは信じています。
 ちなみに、前述した12人の生徒は、途中で一部に入れ替えがあり、3年間を通して学んだ者は6人だけですが、そのうち3人は大学入試センター模試の英語は満点の200点でした。中学校以降、彼らは英語の塾に通いませんでしたし、その後の英語活動もまあまあでしょうか。

(K・T)