■悪い癖がつくと直りにくい
2002/03/15
私が受け持っている成人クラスに中学1年生が1人加わったグループがあります。発音に関して言えば、その中学生はほぼ完全な音を出してくれますが、残念ながら、ほかの大人たちはどなたにも何らかの悪い癖がこびりついていて、現段階ではその癖を直すことで精一杯です。
いったん悪い癖がつくと、プロ・ゴルファーがオフ・シーズンのすべてをスイングの修正に費やしていることでもわかるとおり、ちょっとやそっとの練習では悪癖を追放できません。
日本人の英語の発音は、指導者が正しく教えなかったせいで、大半の人が“自己流”から脱出できません。天才ならいざ知らず、一般の人が何も教わらずに王道を発見できるはずもなく、不幸なことに、ほとんどの人が間違った音をしっかり身につけて離そうとしません。
大人が子供より有利な点は、英語に関する知識をすでにたくさん持っていることです。しかし、その知識を実用的に使いこなすまで口や耳を十分にトレーニングしてこなかったため、三単現の“-s”を平気で落としたり、動詞の過去形を正しく言えなかったりして、せっかくの知識が生はんかな道具にしかなっていません。
一方、中学1年生は英語についての知識をほとんど持っていないため、単語や文型をいちいち手に取るようにして教えなければなりませんが、いったん覚えてくれれば、悪い癖がついてないおかげで、結果的には大人より速やかに正しい英語の音が口から出るようになります。
大人と子供がいっしょに英語の音声レッスンをしたとき、多くの大人が一様に愕然とします。子供たちのように、大人は正しい音をすんなり出せないからです。大人は単語や文法の知識はあっても、中途半端な生兵法状態ですから、子供にはかなわないことを心に銘記したうえで、一念発起して白紙の状態で英語の発音に挑むことが大切です。
この4月から小学校で正式に英語の授業が始まりますが、ALT(英語話者の補助教員)頼みの先生はうかうかできません。なぜなら、世界広しと言えどもALTはわが国にしかない制度で、税金が足りなくなれば、いつ廃止になるかもしれないからです。
(世羅洋子)