[07]The Meaning Teacher Award
2003.2.3
学校の授業などで出席・欠席の点呼をとるとき、英語では「出席してます」の「はい」は“Here.”(ここにいます)、または“Present.”と言います。
クラスで「きのう宿題をあげたでしょう?」などと提出を求めると、高校生たちはときどき“Nah,
you never gave us homework”などといって教師をちょろまかそうとします。“Nah.”とか“Na.”はもちろんNoのことですが、教師はここで負けてはいられません。
“Well, you must turn it in today. It's due today”(さあ、提出してくださいね。きょうが締め切りですよ)とやりかえすと、しぶしぶ提出します。宿題を持ってこなかった生徒は、アルバイトや部活で遅くなったとか、気分が悪かったとか、いろいろな口実を捜し出して言い訳します。
大学生では「祖母や祖父が亡くなった」とか、「犬が宿題を噛んでしまった」などという口実が一般的です。1年のうちにおじいさんが何度も亡くなる学生がいますが、きっとすぐ生き返るおじいさんなのでしょう。
近年は両親の離婚が非常に多くなっているので、“My parents are divorcing,
so I can't concentrate on my studies.”(両親が離婚中ですから、勉強に集中できないんです)などと言ってくる生徒がいますが、この種の言い訳は正当な理由と見なしています。
一方、Yesにもいろいろバリエーションがあって、使い方でニュアンスが変わってきます。“Yeah”は「ええ」「うん」といった意味合いですが、“Yeap(イヤップ)”になると「うん、そう」くらいのもすこしくだけた表現になります。
抜きうち小テストをpop quizと言います。生徒はもちろんどんなテストでも嫌がりますが、「pop
quizをします」と告げると、“You are a nasty teacher”と文句を言ってきます。nastyの代わりにmeanを使うこともあります。自慢話(?)になりますが、私はある年、生徒たちから“The
Meanest Teacher Award”を貰いました。
5分か6分で済む小テストはquiz、単元ごとのテストはtest、中間考査や学期末考査がexam(ination)です。
ちなみに、cramは「詰め込む」という意味ですが、日本のみなさんにおなじみの学習塾はcram
schoolと言います。cram for the examとは「詰め込み勉強」のことです。
では、学生諸君、「宿題は忘れずに。おじいさん、おばあさんの健康を願っています」
“Don't forget to bring homework. And I hope your grandparents are healthy.”
【解説】
正月が明けてすぐ、小島さんにニュージャージーから下関に来ていただき、『アメリカの高校生』の出版について打ち合わせました。
本書にはメッチャ面白いエピソードが満載され、アメリカの高校生とその周辺がとてもよくわかる1冊になっています。現在、最終一歩前の筆者校正の段階ですから、出版はしばらくお待ちください。
なお、本書のほんの一部を英語に訳しましたが、その英語がまた非常に興味深いので、小島さんに無理を言って、別の小話にまとめて、当社のメルマガで紹介することになりました。今回が第1回目ですが、これも大いに楽しみです。
タイトルのThe Meanest Teacher Awardは「最も意地悪だった先生を称える賞」とでも訳せましょうか。
アメリカの卒業アルバムを見ると、写真のキャプションにthe nicest teacherとかthe
finest teacherという褒め言葉はよく出てきますが、the meanest teacherというのは捜せません。なんとかthe
strict teacherがあるくらいです。
ちなみに、nastyとmeanは入れ替え可能な単語ですが、まったく同じではありません。ラブ・オーシュリさんに言わせると、“You're
a mean teacher.”と聞けば、ふつうは単に「意地悪」と思うけれど、nastyはもっと広範な意味を含むので、場面しだいで意味が変わってくるそうです。いかにも高校生のワルが使いそうな単語で、小島さんは英語のネイティブ・スピーカーでないにもかかわらず、創造的な若者言葉が飛び交う環境下に置かれて、よくもまあアメリカの高校教師が務まったものと感心させられます。
(小島恒子)